ぐるぐるぐる、今日はあんまりお腹の調子も頭の調子もよくないみたいだ、めまいはするし二日酔いみたいな吐気も渦を巻いている
そうぼうっと椅子から立ち上がりたくなくて背持たれに背中をぴったりくっつけて足を折り曲げた
そうしたら多分ガチャとかカチャリとか音がしたんだろう鉄の固まりがコツンとわたしのおでこをこづいて重い瞼をへの字に開けて見せる、うわ、やばいっ


「大広間で居眠りとはいい度胸だな」


帽子から覗く黒い目がギラリとわたしを捕えた、よくよく見れば拳銃が目の前にあってマフィアといえどいまだ見慣れない其に吐気は脅えて喉奥にひっこんだ


「ず、いません」
「書類はどうした?」
「あ、これです」
「ご苦労、ん、もう休んでいいぞ」
「え!でも教官、修行は」
「体調悪いの丸見えだ」


教官はつけていた拳銃でわたしのかたい頭を一回こちんとぶつけるとスタスタと大広間の赤い絨毯が繋ぐ立派なドアへと足を向けてしまった、わたしと言えば鉄のかたまりのダメージがあまりにもつよくて銃口の感触が残ったそこを擦る、そうしたらあるはずの足音が急に消えて帽子がわたしに挨拶をした


「無茶するとこばかり似やがって、」


ちいさなちいさな小粒が上等の壁にはねかえされる、教官はさっきの悪魔からまるでひ弱な年齢に対する幼い顔でそれはひどく悲しそうに大広間をあとにした
ただ一人、冷えた背持たれに埋もれた背中だけがわたしに語る、ごめんね、と
やっぱりわたしは、このコートも椅子も受け継ぐことは出来ないみたい、そう、この椅子に座ることが許されるのはただ一人しかいないのだから、


「・・・はあ」


親愛なる教官さま
どうかあの人を探して、どうか、どうかあなたの最高の笑顔をみせてください



我儘キイス




ボンゴレ11代目と教官
(0216)
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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