うつらうつらと夕日はコンクリートにオレンジを塗りたくりながら地球の裏側へと落ちていく
それにグレイを二つ重ねる様に歩幅を小さくしながらぼうっとその影に視線を寄せて、目に入った包帯をぎゅうっと握り締めた、いたい、 生きてる、なんて感覚がよくしないスッキリしてるのは心だけで身体を追い付いていないみたいだ


「ねー山本」
「んー?なんだ?」
「なんであんなことしようとしたの?」


息が詰まるように鼻がツーンとした、あんなことと言うのは今日屋上で、俺が飛び下りて血まみれになろうと為たこと、もう誰もが知っている事かと思えばコイツは知らないらしい、まあ天然の度を越えた性格だから仕方がないと思うけど、それに知られたく、ない


「あー・・・」


顎をかいて口を濁らせる、なんて言おうか、普段頭を使うよりも手を使うことが多いからうまく回らなくてやっぱり口は動かない
コンクリートに目を滑らせてとにかくぐらぐら悩み続けたら彼女がにんまり笑いながら口を開いた


「あれでしょ、わたしも分かるよ!」
「、は?」
「空が、綺麗だったから飛びたかったんでしょう?」
「え、あ・・・空が?」


にこにこ、ワイシャツの白にクリーム色が似合う笑顔が目の前に映り口をぱくぱくあけしめした
空が綺麗だったから飛ぶ?別に、そんなことはないのに、と脳裏を通り過ぎたがあの時ツナと空中をさ迷った時を思い出した、確に綺麗で
掴めないと分かっている空気を掴もうとして手をまた握った、いたい


「山本はさ、笑ってる方がいいよ」


そんな俺の拳を両手を使って包んで少しだけ眉を歪ませ彼女は言った
天然なんて言ってたけど知ってたんじゃ、でもやっぱりにへらと柔く笑うその姿をみたら頭にその四文字が浮かんでくる


「お前もな!」


何かを隠すかのように目の前の頭をくしゃくしゃに撫でた
コイツに俺の暗い顔は似合わないなら何時もみたい笑っていて、それでお前が笑うなら平等、満足な気がした


隠して浄化した罪の意識




(0107)初山本
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