コチコチコチ
もうすぐ時計の針が12を通る頃だろうか、けれどわたしはベットに身を任せて目を閉じている訳でも任務のために殺しをしている訳でもなくただ男の部屋のベットで時計とにらめっこをしているだけだった
なんでボスも今日が彼の誕生日と知りながらSランクの任務をまかせたんだろう!仕事と言えど少しくらい気を付かってくれてもいいと思わないか!
コチコチコチ、時計の音しか聞こえない静まり返った部屋でひとつ溜め息を吐いた

段々つまらなくなってきた、抱いていたベルへの誕生日プレゼントをふとくるりと目を向けてみる
ふわふわした兎の人形はマーモンみたいで可愛くて女の子なのか男の子なのかはわからないけれどティアラをしている、まるでベルみたいで反応が面白そうだからチョイスしてみたけど寝起きとかに八つ裂きにされてしまったらどうしよう、なんて脳裏霞めた

コチコチコチ
コツコツコツ
時計と重なった波長の足音が耳に入ってきた、あ!帰ってきた!
ドキドキしながら再度人形を抱きかかえてドアに視線を寄せた
ガチャリずっと待ち望んでいたドアが開く音がする


「ベールー遅かったね、女遊びでもしてたの?」
「こんな格好で引っ掛かる女なんていねーっつーの」
「それがいるんだよね、此処に」
「ししっ、バカな女」


そう言って誰だか分からない返り血を浴びたコートをベルは脱ぎ捨て、わたしはと言えばにんまり笑ってベルへと兎の人形を向けて息を吸い込んだ


「ハッピーバースディ!」
「ん、この兎くれんの?」
「そう・・・って何その手は・・・ベ、ル!」
「王子腹減ってんだよ」


ギィとベットが軋む音がした時にはもう遅くてベルはわたしの瞼や首筋にキスを落としていく
別にそう言うことをするためにわたしは待っていた訳じゃないんだけど・・・!!てか反応・・・っ!


「わたしじゃなくてこの兎!」
「兎ってなまえじゃん」
「違うこの人形・・・っ」
「オプションなんて付けちゃって可愛いんだけど」
「ベ・・・ル、のあほ!」
「だって俺王子だもん」


全然答えになってないけれど流れいく優しいキスに惑わされていき終にはシーツへ腰がつく


「なまえ知ってる?」
「なにが・・・?」
「兎って寂しいと死ぬんだぜ」
「・・・それはベルでしょうが」


ベルはまたししっと笑ってキスを一つ、やっと唇へと落として前髪の隙間から細めたブルーアイを見せた
兎は寂しくて死ぬなら、ずっと一緒にいればいいだろ
甘い言葉に抱いていたニセモノの兎のお姫様はぽろり、ベットから姿を消した



欲する兎の姫と王子の共食いはそれは甘いスイーツの様



happy birthday prince.
(12*22)
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