「センパイって、大きいですねー」


ソファにごろごろ、特になんにもないから意識もなにもしないままにぼうっとしていたら任務帰りのフラン後輩が雑誌を片手にしたわたしの顔を覗いた、またどっかに落ちたのかベルに落とされたのか頭に葉っぱがついている、とってあげたらちょっと嫌そうな顔をした(この顔は後者だろうなあ)


「んーそんなに大きくもないよ、あ、それ身長の話で心は大きいけど!」
「はいはいどっちもちいさいですよねー」
「さっき大きいって言ったよね?よね?」
「んーまあ」


わざとらしくわたしをソファから立たせて身長比べをするフランは頭に被せたカエルを乱暴に床になげた、やっぱりフランはわたしよりも小さくて、そんなのしっていたのに改めてこうやって見るとフランが年齢層らしく見える、こんな集団にいるから大人びてみれるけどやっぱ顔もまだ幼いんだなあ


「ぷっ、フランちっちゃいねー」
「・・・撫でないでくださいー」
「なんかこう見ると弟みたいな感覚だよ」
「ミーからみたらセンパイはおばさ、・・・げふげふなんでもないですよー」
「オイコラこの口なんていった!わたしはまだぴちぴちじゃあああ」
「いたいれふー」


おもいっきり切り揃えていない爪をたててフランのほんっぺたをつねってやった、フランはあまり感情を表にしないから無表情で本当に痛いのかよくわからない、でも多分本当に痛いのか少しおこっていて、ちょっとやりすぎたかなと思ったらぱしり、生命線の脈を捕られて、・・・え?口からぽろり平仮名を漏らせば時は既に遅し、ぐらんお決まりのごとく押されてわたしはそのまま倒れてふかふかのソファーに背中をぼふんとつけた


「び、びびびびっくりした」
「でも、やっぱセンパイのがちっちゃいですよねー」
「え、」


寝転ぶわたしにフランは馬乗りになった、四人用のソファーは私達だけで満杯、少しずつ密着するフランはわたしの指をゆるりと絡ませてきた、目へと見せ付けるようにそれを上にあげてわざとらしく口へと近付ける、わたしはただ網にかかった手と目をぱちぱちと動かすだけ、口はうまく動かない
「だってセンパイよりミーのが手も大きいですし、靴のサイズもミーの方が大きいですー」
「あ、え・・・うん、そうだね」
「身長だって、」


フランは少しだけ笑ってみせてからわたしにずんずん顔を近付けてくる、口からは音にならない悲鳴があわあわと空気中にとび思わずぎゅう、目をいっぱいいっぱいに瞑って繋いだままの掌も握り締めるようにして、何か頭がパンクしそうなくらいもやもやが邪魔をして考えることを阻む、その瞬間にわたしは肩をぶるとゆらした


「すぐに追い越してみせますよー」


耳元ギリギリにフランの唇、もうどきどきどころじゃない心臓が壊れそうで、ふう、意地悪に吐息が鼓膜をつき抜けて次にはぱくり耳を食べられてしまう、熱した耳にさらに生温い舌がじゅうじゅう焼いて頭がぐるぐるする


「まあ、今はこのポジションでいいですけどー」
「ふ・・・、フラン、後輩」


ぽすん、舌をはなしてフランは馬乗りになってた腕もといてわたしの胸に顔をうずめた、寝るようにしてうつ伏せになって、何と無くわたしはほっとして息をつく
そうしたら上目使いのフランとパチリと目があって、またクスリ悪魔は笑う、完全にわたしの完敗だ


「センパイ顔、真っ赤ー」


いい返す言葉はなくてわたしは落ちたクッションに手を伸ばしひっぬいてカモフラとばかり顔にあてた
「もうミーを弟とかにみれますー?」「みれる、か!」ポジション交代、下はマーモンだけで充分だ!
重力に逆らえない心臓呼吸エトセトラ



「んー・・・ってお前ら何してんのー?いちゃつくんだったら自分の部屋でやれよーししし」
「ちが、う!すごく誤解だベル!フランがわたしの上で寝ちゃって、助けて王子!」
「ふうん・・・よし、俺もお前の上で寝てやるよ、カエルちょっとそっちいけ」
「んー・・・」
「重!流石に二人はきつ、骨折れるから!いたっ」
「悪くねぇな」
「でしょー?」
「ってフラン後輩起きてる・・・!」
「あ、真っ赤なのなおっちゃいましたかー」
「真っ赤・・・フラン、お前やっぱ、」
「う、うるさい・・・っ!」


助けられるのはスクアーロがきてからだとか



(0728)
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