こぽこぽ、珈琲メーカーが温かい音を溢し私は椅子の背持たれに全体重をのせ溜め息をひとつついた、何時もだったら満足なこの朝にも今日ばかりはイライラした頭が広がっていて寝癖がつかないストレートを手でぐしゃりと乱した、目のしたには大きな深い溝を加えわたしのファンデーションをのせてない肌色と言えば最悪だった、全身の毛という毛がぞわぞわさかだつような感覚が気持ち悪くて仕方がない
その中、起動停止したわたしはベル殺害計画をひたすら練っていた、どうしてやろうかあの王子


「・・・せんぱいー?」


むくり、寝癖がごわごわについた髪を無視したフランがわたしが抜け出したカーテンが邪魔しない日の当たるベットから腰を離した、半分閉じかけている水色の目はうつろでゆらゆら、今にもまた白いシーツに埋もれそうだが仕事がある彼には許されずごしごし瞼を擦ってそれを阻止するフランにいれておいた珈琲を渡した


「おはよ、よく眠れたみたいで」
「・・・そうでもないです、先輩のせいで狭くてあんまり眠れませんでしたー」
「其は此方の台詞だってば・・・あー肩痛い」
「老化げんしょ・・・いえ何でもないです、先輩がオバサンだなんて思ってないですよ」
「よっしフランくん朝の運動でもしようかー」


毒舌の神経をばしっと叩いてやれば暴力反対ーとやるせない声が聞こえた、そんな会話をしたりしたけどフランの目は中々冴える事は無くわたしよりもぼんやりした後輩の足取りは心なしかよろよろしてる様に見えた、寝起きに弱いのかちょびちょび珈琲を飲みその合間に瞼をくっつけそうになりの繰り返し


「・・・寝ないでよ?」
「ん・・・う、先輩今日非番じゃありませんでしたっけ」
「え?あ、そうだけど」
「じゃあ」


てこてこてこ、おぼつかない足でフランは寄ってきてわたしの腕の裾をつかんだ、何かと思えばそのままずるりと勢いあまるぐらい引っ張られてわたしはぐらり体制を崩して足を床につけてしまいカーペットと一緒に引きずられた、そしてナチュラルにベットに引き戻される


「寝ましょー」
「は、?」
「任務が無いならいーじゃないですかーミーすごくねむいんですー」
「いや、わたしにはベルを抹消するということを実行しなければ」
「今のセンパイすっごくブサイクですー」
「・・・後輩くん、言っちゃいいことと悪いことがあるんだよ」
「ミーのせいでこんな風になったなら責任をとるべきかなーと」
「?」
「だから、癒してあげますー」


そういって意地悪く笑ったフランはわたしの心臓あたりをぱくりと食べるように顔を埋めた、思わぬ展開にわたしは目を見開いておもわず条件反射でフランの頭をばしばし手で叩いてしまう、いたいですーなんて声がきこえるけれどまるで神経が全部きってしまったように意味はわたしの頭に届かなかった、ばしばし叩く手が疲れてしまいとまってしまう、行き先のなくなった手はフランの頭に回すしか居場所がなかった


「・・・結構センパイもノリ気ですよねー」
「だ、まれ・・・っ」


だって後輩の髪と香りが、あんまりにも綺麗でわたしを包むものだから、わたしは黙りこくってしまう、魅せられた世界はエメラルドグリーン、そして勿論毒舌を忘れずに



おはようセンパイ、でもあと少し


ベル抹消計画はおあずけ


(0720)
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