はぎとってやりたいぐらい熱さを連想させるファーをみるたびに溜め息がでる、腕捲りをギリギリにまでして手で顔の前をぱたぱた空を切らせたわたしは最高潮に機嫌が悪かったが段々と呆れに変わっていた、もうこれなら動いて宙を切るほうが全然マシなのに待機ってボスは私を熱中症で殺す気かと思ったりしながらまたも溜め息をつく
今は春、春と言えばぽかぽかな生暖かい温度を想像するのに何故地球温暖化なんてなってしまったのだろうか


「あーもうあっつい・・・」
「暑いっていうから暑くなるんですよー馬鹿先輩」
「・・・フランくんは何でそんなにも涼しそうな顔を、あれ幻術とか使ってるの?」
「そんな便利な術なんてありませんよー馬鹿」
「せめてセンパイってつけてね」


毒舌少年に怒る気力もないぐらいにわたしは脱力していた、仮として此れから戦う事になるならばわたしはきっと使い物にならないような気がする、スクアーロに怒られるのが目に見えていた、其でも逃げずに仰ぐのは一応後輩の指導を頼まれてる訳で其さえもすっぽかせばわたしはボスに首を切られるだろうから最後のあがきだ
ぱたぱた、フランくんは相変わらず汗一つかかず通信機のカエルの帽子を下にかかげている


「せめてクーラーがきいてるとこで待機したいよね」
「そんなとこで待機しても意味ないじゃないですかー」
「じゃあ海とかさあ・・・そう海!」
「入れなきゃ意味ないですよねー」
「見るだけで何か清々・・・って、」


ぼんやり、あんまりじいっとみたことない彼の顔をいつも瞳に入れるときより念入りに目の全神経を働かせた、フランくんと言えばいきなり言葉が止まったからかぱちくり、瞬きを二回する


「いっつも帽子かぶってたから気付かなかったけど、フランくんの髪と瞳の色ってすっごく綺麗・・・」
「当然ですーミーですもん」
「スカイブルー近いよね・・・いいなあ」
「そうですねー・・・褒めて下さった先輩にお礼の意味をこめて涼しくさせてあげましょーか」
「え?」


ほそっこいひょろりと伸びた指がわたしの手にゆっくり絡まり、其をのんびりみる暇もなく口元が笑ったフランくんと目がぱっちり有った、急いで瞬きをすればカメラのフィルムがかわるかのごとく目の前にはスカイブルー、其は晴天の空でもなければそれは海でもなく、彼の瞳の色をコピーした様な色、瞬きを二回する必要はなくなった、次の瞬間にわたしは酸素に貪欲になりそんな心配をする心理は働かないからだ



スカイブルーに溺れる深海魚




「どうですかー清々しい色を見て涼しくなりましたかー?」
「・・・っげほっ、なるかっぼけ・・・!」


いくらスカイブルーを目の前にしてもキスして涼しくなるなら苦労なんてしない


(0422)
髪色とフラン
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