あたしは死ぬと言うことは誰にだってあることで仕方のない事だと思っていた
けれど交通事故とかでは命は落としたくなかったのだどうせなら誰かのために死にたいもの、でもそんなの口だけでやっぱり一番可愛いのは自分だ
だけど、それを上回る奴が出来たあたしはきっと幸せもの


「、ツナっ!!」


バキュンと音がしたのを確認する前に私は走り出していた
安全圏にいたボスに狙うなんて卑怯だけど戦いに卑怯も理屈もなく、ただ走った
不味い、ツナはグローブを今日持ってきてなかったはずだ(だって普通の話し合いのはずだったから)
今は私しか近くにいない、右腕の、あたしの恋人の隼人もいない誰が守るというのだ、あたししかいないじゃないか!
駆け出した足をそのまま手を伸ばしてツナを突き飛ばして勢いよく屈もうとした が


「、っ」
「なまえち、ゃん!?」


息がつまる、やばい痛いかもしれ、ない
呼吸が苦しくなるけど屈みながら銃を向けてグラグラする視界に向けて撃った、心臓を狙うとツナが悲しむから飽くまで安全なところを撃つ、情けをかけるあたしもツナも優しすぎる気がした
けどそんなことを考える余裕が段々なくなっていく、グラグラグラグラとまらない揺れにぶれた世界 こみあげてくる吐気に滲む血は全てはじめて見たものじゃないはずなのに怖かった
ぱたり、ゆっくりと見えた天井になんだか少しだけ安心した
胸をえぐる様につかんだ、球はつき抜けて穴がぽっかりあいてる


「なまえちゃん、なまえちゃんっ」
「、なに ツナ?可愛い、顔がっ台無し・・・だ よ」
「今医療班を、獄寺くんを、っ」
「・・・ツ、ナ」

ポケットからだした携帯に怒鳴るように呼ぶ声はなんだか懐かしく感じた、あたしがツナに怒られたときみたいなそんな錯覚があたまに浮かぶ
そうすればツナは私の耳に携帯を押し当てた、手で持とうとしたけど思えば血だらけで汚す訳にはいかないからそのままプルルルとなる電子音に耳をかたむけていた


「十代目っ!今医療班が飛び出して行ったんですがご無事で、」
「隼人、?」
「・・・なまえ!?なまえか!?」
「、あほ、あ たし以外に誰が い、るのさ・・・っ」


息が苦しくてどこもかしこもが痛いし気持ち悪いはずなのに焦る隼人の声で何故か私は笑ってしまった
ねえ、隼人あたしツナを守ったよ


「なんで・・・お前もしかしてっ」
「名誉の負傷、なんちゃって」
「おま、ば「隼、人、」

息継ぎをしてふっ、と息をもらした
バタバタと足音が迫って薬のにおいがしてきたけど構わず私は口を開いた 聞こえないぐらいが丁度いいと言うものだ
情けないその声はきくのがあきた、笑っている時の隼人の笑顔とあの、声があたしは好きだ でも今のあたしには隼人を笑わせる術はないから、


「あたしの方が、右腕に向いてるかも、ね、」


せめて、泣かないで大声で怒鳴って怒って



耳元で声がする
あたしが望んでいないやっぱり情けない声が



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