ニュースキャスターが煩く物を告げまさかのテレビは砂嵐に巻き込まれてしまう、屋敷は頑丈のはずなのにぽっこり穴は空けられまるで放置された食べかけのケーキみたいだった、メイドは脅えボスはおどおどして獄寺は何かを唱えていた、山本は修練場でばたばた剣をふっていれば雲雀さんはひょろりと何処かへ行ってしまった、そしてわたしはと言えば何時もは雲雀さんみたいに何処かへ消えてるのが当たり前な筈のいつに髪を伸ばしたのかわからない男と客観的に世界をテラスから見下ろしていたと言う


「世界崩壊だって」


空はみたことない様なインディゴに染まって雲なんて可愛いものはありやしなかった、地上の酸素は薄く何だか頭がクラクラしてる気がするがそんなの気にしてられない、地球最期をわたしは見ていたかった


「何だか実感湧かないね」
「そうですね、僕もこの地球が壊れそうに成るのを何度もみてきましたから」
「流石約600歳の六道さん!」
「おやおや何を言うんですかこの口は」
「ひゃ、ひょやめてふよ!」

それは面白そうにわたしのほっぺたをつねる彼はいつになく笑う、最近不機嫌でふくれっつらだったのに彼の中で何が起きたんだろうか、なんて考える暇もなくぱちんっ頬は悪魔の長い爪先から開放された


「そろそろ、ですね」
「・・・あーあまだやりたい事いっぱいあったのに」
「僕もですよ、全くこの世界はせっかちでしょうがありません」
「あと一年でいいから時間欲しかったなあ」
「おや、其なら方法がひとつありますよ」
「え、」


赤く腫れた頬を擦っていれば手袋をはめていない骸の冷たい手がわたしの両脈を捕えた、其から何かの幻術に取り付かれたかの様にびりびり電気がわたしの背中を通った、完全に六の文字に惑わされ唯一動く口は無意味にぱくぱく動くだけ


「僕とこの世界から逃げる事です」


頬に当てがわれた槍はわたしの肉を薄く切った、其から骸はその血を舐めとり、わたしの口に生暖かい温度を伝えた、口内はかきみだされて鉄の味しかしない、そうその直後感覚が戻ったわたしの足は酸欠でぺったりコンクリートにはりついて耳にはドカンドカンと、地球が壊れる音しか届かなかった



世界崩壊三秒前のアンドロイド



「僕の後悔は此でなくなりました、ありがとうございます」



(0405)
契約したかった六道
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