ゴホゴホ、風邪というレベルを越えて流行に流されてしまったわたしは負け組か否学級閉鎖の時期にかかったし勝ち組なのかな、なんてどっちにしても息苦しい思いをしている訳で、鼻までかかったマスクは快適と言うには難しく布団の圧迫感にぎゅうぎゅう包まれる
学校には連絡したし風紀委員のほうも草壁さんに連絡したから大丈夫だろう、一眠りつこうかな、その瞬間ガチャリと音がして暖房のきいた部屋から暖かい空気が流れていって眠りにつこうとするわたしを邪魔する


「なんで僕に連絡しないの」


音に反応してうっすらとあまり開けたくない瞼をあげればひばりさんが、いた、お母さんがきたと思っていたわたしは思わず飛び起きそうになったが雲雀さんに「移されたら困るから動かないで」ととめられたのでおずおずとまだ背中は布団についたまま、雲雀さんといえばベストの上にやっぱり冷えるのか学ランを羽織っていて、片手には真っ白いビニール袋、雲雀さんは勉強机の椅子をベットの横に持ってきてわたしの視界に入るように足を組んで座った


「わ、たし草壁さんに連絡しましたよ」
「知ってる、でも委員長はこの僕だ、普通僕に連絡するものだろ」
「・・・はい、すいません・・・ケホッ」
「喋らなくていいから」


また、とめられてしまう、わたしにはただ雲雀さんを見ることしかできなくなってしまった
雲雀さんはゴソゴソビニール袋から少し水に濡れている林檎を取り出した、袋には果物ナイフも入っててスルスル器用に雲雀さんは林檎を切っていく、普段トンファーでずたずた殴っている人からみたら異様な光景だ
でも、それよりも異様で驚いたのはわたしの心配をして雲雀さんが来てくれたことで、何だかびっくりしすぎて自惚れに近い何かに頭はついていけないようになる


「なに、ニヤニヤして気持ち悪いんだけど」
「いや・・・雲雀さんがわたしのこと心配して、くれるなんてと思って」


目を細めて笑えば雲雀さんは一回目を丸くしてから眉をぐちゃぐちゃに歪めて、あまりに見たことない余裕の無い表情に更にわたしは笑った、そうしたらそれがきにくわないのか雲雀さんはわたしの笑い声が絶えないマスクを無理に下に捕らえられて切り終わった林檎をひとつ口に突っ込まれた


「っ、む!」
「・・・うるさいよ、僕が心配しちゃ駄目な訳?」



多分照れてるんだろうかほんのり赤くなった頬が証拠だった、口止めとばかりに詰められた林檎を一旦口からとりだして、椅子から立った雲雀さんを目で追ったら帰るのかドアノブに手をかけている


「・・・早く、学校きなよね」


小さな声は部屋にこだまして、わたしの耳へと運ばれる、いつもなら非常識に無理矢理窓から出てくのにドアからでてくのはわたしへの気遣いなのかな、考えたらさっきまでの寒気はゼロに近づいて何だかほわほわした気持ちになった
かわいい兎の形にむいてある林檎を食べれば甘酸っぱく水分が足りなかった口に広がる、それはまるで雲雀みたいだと思った




可愛い真っ赤な彗星を一口



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