ぶんぶん、白く小さな手が目の前に振られてきょとんとした馬鹿面を晒す顔を見たら「あ」小さくソプラノが鳴った、読んでいた本をパタンとしおりを閉じて顎の方向を変えた


「なんだよいきなり手なんか振って」
「え、や、素朴な疑問調査です?」
「はあ?」


意味のわからないことを言われ口を間抜けにもぽかんとあけたままにしてしまった、そうしたら彼女はじいっと自分のことを、顔をずっと見てくる、王子とかなんとかで騒ぎ立てられていたから見られることが慣れてるはずなのにこんなにも集中的に目の前で見られたら何だか居心地が悪い、べつに彼女が嫌とかではないがずっとこの視線を受け続けたら精神的にやられる気がした、あまりにも純粋な瞳に咽が鳴る、女なんか媚びる瞳ばかりだからその瞳があまりにも綺麗に見えた
口を開こうとした、こっち見るなと、だが先に開いたのはピンクの唇だった


「ベル隊長って目、見えてるんですか?」
「・・・当たり前じゃん」
「いや、間違えました質問!ベル隊長は目あるんですか!?」
「なぁお前馬鹿?」


目無かったらどうやって本読むんだよ、そう言ったらあっそうですね!と納得した様に頷いた、でも視線は消えることなくじいっと飽きることなく向いていた、試しにナイフを一本取り出してストン、耳スレスレに通る様投げてみたけど彼女は瞬きすらしないで気にすることなく俺を見続けていた、その点は暗殺部隊として冷静に俺の貴重な部下として合格だ


「ベル隊長の目、何色なんですか?」
「んー何色だと思う?」
「髪が金色だから青・・・とか、あ、赤も有り得そう!」
「まあ正解は見た奴しかわからねーけどな」
「ええー!じゃっ!じゃあわたしに見せてください!」


椅子から立ち上がってプリーツスカートを揺らして興奮したように彼女は言った、いつも媚びを露出をする女に言われる言葉と同じのように並べられていたにも関わらずきらきら好奇心しかない瞳に目をとられる、だからちょいちょいと彼女を手で呼び寄せて俺の前に立たせる、そして真ん中から前髪を上へとあげた、直接入ってくる光が少し眩しく感じたがそれよりも綺麗な瞳にやっぱり捕われた、宝物を見つけたみたいにきらきらと俺の目だけをみて綺麗と小さく呟く彼女はまるで無邪気な子供みたいだ、でも俺にはそれがあまりにも新鮮で気前が良くなる、口角が自然とと上がるのが分かった


「言っとくけど見せるのお前だけ、トクベツってやつ」


そう言って星みたいに輝く瞳の上に唇を押し付けてみた、瞳はあまりにも温かく体温がそこからわかる程
唇を離して彼女を見れば俺の予想を裏切らず林檎みたいに真っ赤になっていた、やっぱりおこちゃまだ、だから唇にはまだしてあげない甘くなったらのお楽しみにしよう、そんな彼女が俺のお気に入り



シュガーピンクの唇



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テーマ「人外ファンタジー」
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