イライライライラ
コチコチ一秒単位でやけに煩くなる時計とシンクロするかの様に私はこの間新調したばかりのお気に入りのブーツの爪先で立派な屋敷の壁をコツコツと鳴らしていた
目の前にある茶色のドアの向こう側の街ではキラキラ赤や青、黄色と派手な色合いがピカピカ信号の様に光り身を赤で纏って白い髭をはやした子どもたちの夢を配るなんとも都合の良いおじいさんが微笑んでいるにも関わらず全く反対にわたしは顔をしかめるばかりだった
イルミネーションで着飾っている街だとしてもわたしはそれが憂鬱で仕方がない、わたしだっていっつもヘラヘラ笑っている訳じゃないし怒ると言う感情だって持っているのだ



「(骸のあほ・・・!!)」



折角ツナくんだって空気読んで皆を今日限定休暇にしてくれた、それはきっと図々しくも私達のデートの時間を提供してくれるのも一つの提案だった筈なのに人が仕事で疲れて寝てる間にノコノコ出掛けるかな?
確かに約束なんてしてなかったけど、・・・でもひばりさんにきいたら髑髏ちゃんと出かけたって言ってたし、彼女ほっぽいて美女とデートですか、普通有り得ないでしょ!
今日のためにケーキだってつくったのに、なのに、アイツは!
イライライライラ
また考えたら苛苛が募ってきた
そうすればドアから二つの足音が聞こえて段々近くになってきた
わたしはぐっと手に力を込めてドアと向き合ってガチャリ、向かって右に開いた瞬間に、



世界が真っ白になった



「メリークリスマス、浮気者!」

凪にこのところ仕事詰まりで買えなかったなまえへのクリスマスプレゼントを選ぶのを手伝って貰い彼女の喜ぶ顔を想像しながら屋敷の金で出来たドアの取っ手に手袋をはめたままの手で引っ張れば一面真っ白になった
其処が真っ白だった、と言う訳でなく、僕の視界が
そして次に聞こえたのは今まで聞いたことのないぐらい威圧と怒りが隠った黒い声
ぶるり、初めて身震いと言うものをすればべとり、床へ音を立てて白いものは落ちていった
視界が妨げるものが少しだけ減る、だが其処には


「おかえりなさい」
「・・・なまえ、」
「美味しかったかな、いっぱいケーキ焼いたんだよ」
「え、ぇそれは分「分かってない!」


べちゃり!また何かやわらかいものが顔に押し付けられる
喋っていた途中にするものだがら半開きになっていた口にも流れ込んできた、甘い
だけれど目の前にはそんなのを気にする余裕はなくて







「一回死ねパイナップル!!」
「なまえ、キャラ変わってますよ!」
「うるさい浮気者ー!骸のばかーあほーパインー!」
「最後のよけ、ぶっ!」


パイ投げの嵐はいつまでもとまらない!子供の仕打は怖いのだ!