学校を出れば真っ暗な空が一面に広がっていた
この光景はこの三年間一日もかかさずに見た景色
忘れることのない紺色にみ入ってぎゅっと鞄を握った
三年前となにも変わってないこの空が少し私は羨ましかった
まだ肌寒い三月の風にゆられればしゅんっと通ったものが、あ 、!


「雲雀さんっ流れ星!」
「・・・どこ?」
「ほらそこ・・・あそこにも!」
「ワオ本当だ」


びゅんびゅん流れていく星を指で辿っている私と雲雀さん
卒業式だったからなのか知らないけどたくさんサービスしてくれる流れ星はとても綺麗、肉眼でくっきりと見える程大きくて


「なまえって願い事とかしないの?」
「願い事ですか?」
「ほら、流れ星が流れてる間に三回唱えるってやつ」
「あぁ、よくやりますよね!でも私は、迷信だと思いますそれ」


今度は控え目に星を指差して雲雀さんの顔をみた
私は星は一つ一つ個体のものじゃない気がするんです、変な表現ですけどね
星ってきらきらしててすっごく綺麗で、なんだか私涙に見えるんですよ


「だから流れ星を見ると星が泣いてる様に思うんです」


だからそんな涙に願い事だなんて酷いと思いませんか?星だって何かが嫌で泣いてるのに
それに私の今の願い事は星に願ったくらいじゃ叶いませんよ、と言って苦笑した
雲雀さんはなんとも言えない顔をしていてただうん、とうなずくだけだった


「雲雀さん、星も泣くんですよ」


私知ってるんです明日、ツナくん達と一緒に雲雀さんがイタリアに行っちゃうって
よくは知りませんが就職、するみたいって 雲雀さんは言ってくれませんでしたけど、おめでとうございます!
だから、強がらないでください さっきから悲しそうな顔してるんですよ雲雀さん


「なまえ、」


ぎゅっと雲雀さんに包まれてわたしは雲雀さんの顔をみた
前髪でよく見えないけど綺麗な顔を歪ませて雲雀さんは、流れ星をながした
雲雀さん、と声をかけようとすれば声を遮られて初めてきいた情けない声が耳に響いた


「僕は、君も、並盛も、手放したくはない」
「けど、ね」
「明日僕が立っている場所も手放したくない、んだよ」


欲張りだなんて昔からなのに今の僕には慣れない感覚でね
雲雀さんの肩が小刻に揺れる、それをわたしはゆっくり包んだ
大丈夫です、私も並盛も、雲雀さんが大好きですから
そう言って私も流れ星を流しながら慰めることしか私には出来なかった(この涙に、願い事を)


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