沢田綱吉が 死んだ

彼は自分が死ぬと言うことを感じとっていた、だからあんな無謀な作戦を入江正一とたてた訳だが(僕には関係ないけれど)
葬式はそれは華やかに行われた、元々部下から慕われる様な人を殺す職なんて向かない人柄だったから一人ずつ祖えられた一本の花は棺桶からはみだしてしまう程あった、それが悲しいほど綺麗だと誰かが口ずさんでいた気がする

僕は 彼とまたあえる日がくることを知っている、確に僕が知っている“沢田綱吉”にはあうことはないのかもしれないがそれでも成功すれば、もしかしたらと言う動詞が見付かるかもしれない


だが 彼女達はそれを知らないのだ


「、っ・・・ひ、」


声は枯れたように綺麗なソプラノはかすれてきこえなくなった
涙をおしまずぽたぽた落として彼の着ている黒いスーツを千切れるぐらい掴んでいた、白い足は段々と地へと近くなっていてただ僕は彼女の横顔をぼうっと瞳に入れていた
綺麗な真っ黒な瞳と長い睫の先には透明な水滴が拭っても消えない、彼女のそんな姿をみたのは初めてだった 何度酷くしたって泣くなんて表情しなかったのだ
沢田綱吉には不謹慎かもしれないけど、それがどうしてもすごく すごく綺麗で 顔が笑ってしまった(心は笑ってなどない)

「な・・・に、笑ってる、ん・・・で、すか」
「何でもないよ」
「・・・変な雲、雀さ、っ・・・ん」

うまく肩がが上がらないみたいだ、ぼうっと見ていた視線はかわらないが映るものは変わった、ああ いつも見ている 笑顔が(それは、憎たらしくなるほど僕は、好きで)
痛いくらいに心を捕まれる、ぎゅう 痛い 痛い、よ ばか 、


「やっと、泣きました、ね」


ぽたり、頬に手をあてれば濡れていた、ワオ、僕 泣いて 、
何で 泣いたんだろうか 心は別に悲しくないのに 寧ろ 嬉しいのに・・・、ああ そうか

僕は君のその顔が好きだということか
(明日を裏切らないその顔が)

でも


僕が死んだ時はね、



涙葬
白いアネモネじゃなく
君の涙で沈ませてくれ


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