「久しぶりだな、並盛」


ふわり、雪が少し積もって足元がサクサクいって空からたくさんの白が舞っている中わたしは息をふうとつきながら黒い頭を一つマフラーを持って追い掛けた、雪の感触がリアルに伝わり頬は冷たい風に触れる


「雲雀さん!そんな薄着じゃ風邪ひきますよ」
「君は僕の母親かい?」
「それでもいいですから、ほら巻かないと」


ピタリとズカズカ歩く雲雀さんの肩を制止させて背伸びをして雲雀さんの頭からくるくる白いマフラーを巻く、やっぱりちょっと寒いと感じたのか反したことをするのは口先だけでちゃんと巻かせてくれて巻き終わって笑ったら、雲雀さんもほんの少しだけ笑い返してくれた


「それに、久しぶりっていってもたった二週間しか離れていなかったじゃないですか!」
「僕が二週間も並盛から離れるなんて前代未聞なんだよ」
「まるで子供を心配する過保護な親ですね・・・」
「僕の気持ちはそれ以上さ」


自慢げに雲雀さんは話す、並盛の話をすると殆どの確率で雲雀さんはごきげんだ、並盛をずっと前から愛しているのはわたしも知っているしわたしも並盛出身だけれどこんなにも愛着は持てない、雲雀さんにとっては特別クラスなのだ


「雲雀さん、歳とりましたね」
「君もね」
「・・・なんですかその目」
「別に、ちゃんと君が成長したと思っただけだよ」
「わ!おっ雲雀さんが褒めてくれた!」
「褒めてはないけど」
「・・・」
「よく僕好みに育ったと思った」


そう言って確かに歩を進めていたのにわたしは止まって、そう、今度はわたしが制止されて雲雀さんを見ようとしたらうまく瞼へと雲雀さんの唇が触れて、そのまま瞳をつぶってしまった、わたしが目を開かない事を合図にか今度は冬の風ですこしだけ乾燥したわたしの唇に生暖かい体温が伝わる、より一層瞳を閉じるのに力をいれた感じるのはいやらしくないキス一つ


「・・・ん、満足」


目を開けたらそう目をあわせばっちり笑いながら言われるから道端で何するんですかとか怒れなくなってしまった、口を横に伸ばし開きそうな唇を手で抑える、さっきより温度が上がったような気がした


「手、・・・さむい」


雲雀さんは確かに歩きだそうとしたはずなのに気づいたようにそのままにわたしにそう言って手を差し延べてきた、寒いならポケットに手を入れればいいのに、でもそれをしないのはきっと雲雀さんも、


「雲雀さん大人になりましたね」
「分かってるよ」
「雲雀さん少しだけ素直になりました」
「馬鹿にしてるの」
「まさか!」
「僕にはそうにしか見えないよ」
「わたし好みになったって事です」
「・・・へえ」


きゅっと指を絡めた手から伝わる温度は当たり前に温かくのはないのだけれど、居心地の悪くないそれぐらいが今のわたし達には丁度良いのだろう



微熱で踊る


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テーマ「人外ファンタジー」
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