無くしたスプリングのつづき

ゆらゆら揺れる視界が、久しぶりであたしはあの時みたいにふつむいた
さくらが地へと落ちる そう言えば雲雀はさくらが好きだったでもあたしは大嫌いだ
ピンクで可愛らしい色は恭弥が大好きで、でもあたしには言わなかった好きをいわれたさくらが物だと言うのにきにくわない
きっと雲雀はあたしのことが嫌いだろう、一年前は自惚れて、好きだったとしても突き放したのはあっち 好きな奴を突き放すなどある訳がない話だ(昼ドラじゃあるまい)
でも良いと思う あたしも今は雲雀が嫌いだ、 おあいこである それに雲雀が好きでも嫌いでももうあたしには関係ない、そう思う度目尻がじりじりとする(あ、あ)


「なに、してるの」


痛む目尻に触れれば久しぶりにきいた 男の声がした
背中越しにあの空気がながれてくる、あたしはやっぱりふつむいた 嫌いな雲雀と言う文字をもつ彼から逃げるように目を瞑った、なみだが溢れた
なんで、あたしは泣いてるの、悲しくも怖くもないのに


「ねえ、僕は君にきいているんだよ」
「・・・きら、い」


ぐるぐる、よくわからなくまわる頭をむしゃくしゃに抑えた おかしい あたし
暗示をかける様に口にだしたきらい、そうだあたしは雲雀がきらい


「きらい、きらいきらいきらい、き・・・ら、いだ」
「・・なんで、いなくなったのに」
「くるんだよ・・・お、」


やっとみなくて良くなった背中を、また頭の中でちかつかせるの
また 思い出すからやめてよ あたしが 恭弥を 好きだった頃を、きらいなんだよあたしは


「あたしを・・・お、いてかない・・でよ、」


あたしが好きだった雲雀恭弥を 返して


「ごめ、ん」


綺麗な嫌いな、声が響いてふわりと私に影が覆ってきて 黒髪が目の端でさらさらゆれる
柔らかい覆うものは恭弥だ気付かない訳はなかった、あの時の あたしの好きな恭弥の手だから(優しい)
何もいわない、こわくはない、涙はとまった、なんで 今頃?


「僕は、君を壊したくなかった」
「・・・きょ、」
「壊したらまた、いなくなる から 離れて、嫌われて」
「、恭弥」


久しぶりに口にだした名前はゆるく、あたしを勇気つけた
こわくないよ、今の恭弥は私の好きな恭弥 だよ あたし嘘ついた
そう言って恭弥の頭を撫でた、一年ぶりのこの距離がすごく愛おしくて(やっと、色がみえた)


「ありがとう、恭弥」


大人になったんじゃなくて、きっと 背伸びしたんだよね あたしがきっと大人にならないから
100歩譲らなくても 今は言えるよ


「ごめんなさい」



取り返したスプリング



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