ぼやける視界も生臭い臭いで充満する部屋も長く切り揃えている髪が赤く染まっているのも綺麗好きな典型的なA型の私は珍しく気にする暇もなかったぐらいに頭がガンガンと渦をまいていた
カタカタ震える指に床につけた膝は此処数時間はなれることはなく、干からびていくようなそんな感覚に徐徐に溺れていく



コンコン



「僕だけど」
「・・・ひばり、さん?」


背中のドア越しにきこえたのは上司のひばりさんの声だった、(きれい)
顔を少しだけあげるけれどやっぱり世界はぼやけたままだ おかしい何でこんなにも私には綺麗な世界が見えないのだろう



「開けてくれない?」
「駄目、です」
「何で」
「汚い、から」
「そんなの気にしない」
「駄目、駄目です」


ひばりさんには私の汚い世界は見せたくないだってひばりさんは綺麗だ 容姿だって声だって、性格だって、全てがきれい
そんな人ににおいがきつい部屋やメイクがとれた顔に血がついた中途半端に開けてるスーツ、落ちた赤い爪にこの 暗い世界は見せたくない


「・・・君のせいじゃない」
「、私のせいですよ」
「殺したのは彼奴等だ」
「守れなかったのは私です」
「誰も君のせいなんて思ってない」
「・・・違う、」


みんな、 みんなみんなみんなみんなみんな、絶対に本心をだしてない
わたしが死ねば良かったんだよ だってそしたらボスは生きてて獄寺さんだって山本さんも了平さんに髑髏ちゃんだってあんなに悲しそうな顔しなくて良かった
ボス程の私の命の価値はないのだってみんな分かってる ああやだ、なんであの時走れなかったんだろう なんで私は泣いたんだろう なんで私は汚い世界しか、みれないの


「ひばりさん、」
「なに」
「わたしは世界が大嫌いです、嘘ばっかり」
「僕は好きだけど」
「それはひばりさんの世界が綺麗だから」
「君の世界も綺麗じゃないか」
「ほら、嘘」
「嘘じゃない」
「それも、嘘」


たくさんの嘘ばっかり 嘘なんていらないのに
床につく手をずらせばぐちゃりと音がした 気持悪い
この血こそ、嘘になればいいのに


「、開けろ」
「駄目です」
「ドア壊すよ」
「ほっといてください」
「出来る訳ないだろう」
「ひばりさん、」
「、っ君なにを」
「さようなら」


わたしはこの嘘に堪えきれず拳銃を片手にドアへと沈みます ひばりさんを背中に殺します 汚い世界で私は、死にます(きっと誰にも逢えない世界へと)
醜いわたしは 消えます



嘘をつくと言う嘘


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テーマ「人外ファンタジー」
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