昨夜並盛で一人暮らしの女性が殺害されたらしいよ
恭弥さんの部屋でのんびり煎餅(勿論持参)を頬張りながらニュースを見ていれば彼はなんとも不機嫌そうにそう口を開いた
一人暮らしってなにかと大変で女とくれば無防備だ、とかなんとか仕事から帰ってもなぜか脱がないスーツ姿恭弥さんはぐちぐちと文句をいい放っている


「今話題になってますよねー一人暮らし」
「僕の並盛で犯罪だなんていい度胸だよ」
「まあまあ、そう言わずにはい、お煎餅どうぞ!」
「ん」


恭弥さんの口に煎餅をいれて台所へとお茶を煎れるために足を伸ばす
もう大体の食器などの場所は把握しているのは大皿を棚の上に置こうとした恭弥さんが危なすぎて私が配置したからである
ぽこぽこと白い湯気がたって上等の湯飲みは何だか嬉しそう


「君も一人暮らしだったよね」
「あ、はいそうですよー」


湯飲みを両手で抱えてやっぱり着替えない黒へと向かう
恭弥さんはわたしが一人暮らしと言う返事を返せばふうんとあまり関心がないように返してわたしもそれに続いて相槌を適当に返した
別に彼と私の関係はそんなようなふつーのふつーの関係である、たぶん


「世の中は物騒だよ」
「・・・いやいやそれはこの間私の家に勝手に窓から侵入してきた恭弥さんでは」
「世の中は物騒だよ」
「なんで二回いうんですか!?」
「大事な事だから二回言ったんだ」


ぷうと口を膨らませて恭弥さんはわたしから目をそらしてスーツのポケットに手を突っ込んだ
よく恭弥さんの言いたいことがわからないなあと思えば君は本当に馬鹿だね、少しは察してよとか駄目だしをされる(な、なんでわたしが怒られなきゃいけないの!)


「だから、」


チャリン
小さく鈴のついた赤いりぼんでくくってある何処にでもあるような鍵が恭弥さんのポケットから私の目の前にだされた


「鍵・・・?」
「僕の家の、君にあげる」
「は?」
「まだ分からないの?」


恭弥さんは呆れた様に溜め息を深くついて私の頭へぽんと手を置いた


「今日から僕と、」







恭弥さんは並盛でまた死者がでたら困るからなんて言ってるけれど、それは、つまりですね


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