う そ !
叫びたがい私の心の声はじわりと染みをつけたようにこびりつき差し出された写真をただ一目見た瞬間に頭をフル回転させてボスに背を向けた
ひばりさんがお見合いする、ボスの声が頭で何度もリピートされて段々ぐるぐる回しすぎている脳が少しだけ気持が悪くなってきた
ひばりさん、ひばりさん嘘ですよね・・・いやいやでもボスが知ってるってことは公認!?うわああどうしよう、お見合いの相手すっごく綺麗だしひばりさんも男なんだから惚れちゃうんじゃ・・・!
ふつふつ沸き上がってくるのは不安の声ばかりでわたしはきゅっと口を結んで赤い絨毯の上を騒がしくハイヒールをはいた足で走った


「ひばりさーん!」


わたしは飽くまで沢田綱吉ドンボンゴレの秘書を勤める者だけれどひばりさんにひっそり恋心を持ち隠れアタック(古くないよねこの表現)をしている、ひばりさんも多分わたしが分かりやすいからもう分かってるんじゃないかな、って考えが脳裏を通り顔を赤く染めた時もあった、でも自信があるならこんなに冷や汗をかく訳はないだろう
やっぱりわたしは只の秘書だ、マフィアの一人と言えど戦いなんて拳銃すら持った事ないしラルさんやオレガノさんに髑髏ちゃんみたいに可愛かったり容姿がいい訳じゃないしバジルくんみたいに天才!と言う訳でもないから足だって遅いし獄寺さんにこの間ボスを待たせてしまい怒られてしまったし、
じわじわ、また不安ばかりが頭を駆け巡る、だけどハイヒールが床を蹴る音は止まらない、止められない


「(い、た!)ひ、ば・・・っ」
「なまえ?」
「どうしたんですかなまえさん」


黒いスーツにリムジンが見えたのは大広間をすぎた玄関、わたしの姿を見て足をとめたひばりさんに向かってラストスパートを切って肩がうまく下がらないわたしはひばりさんのスーツをぎゅうと皺になるのも気にかけず夢中で掴んだ
隣にいる草壁さんは走ってきたわたしの姿が相当変なのか焦ってるのが顔に丸分かりだ


「ひばり、さ・・・ひばりさんっ」
「ちょっと落ち着きなよ君」
「、わたし、ひばりさんの事が好・・・っ!」


ひばりさんの手が言葉を止めるかのようにわたしの口に触れた
はっ!其処で自分がしていることをやっと理解した
ひばりさんとすればいきなり走ってきた奴にスーツを捕んで引き止められて挙げ句の果てには告白だ
変な奴としか思わないのが普通、かああっとわたしの顔が段々と赤へと変わっていく


「ご、ごめんなさ」
「言わなくていいよ」
「・・・へ?」
「君の気持なんてとっくに知っているから」


ね、とひばりさんはいつもあの鳥に笑いかけるみたいにわたしにも笑いかけた
どうしようこの気持が本当に知られていた、と言う事よりもひばりさんがわたしに笑いかけてくれたことがすごくすごく嬉しくて


「僕の答えは」


ふっとリップグロスの乗った口に触れるだけのリップ音が控え目に響いた
ひばりさんの顔が凄く近い、手を伸ばせば届く距離にいて(ど、うしよう)
戦いなんてできないし可愛かったり容姿がいい訳じゃない、かと言って天才!と言う訳でもないわたしでも
ひばりさんが好きと言う気持は抑えきれないみたいです



アイラブユーのその前に



次の日、そのお見合いはひばりさんじゃなかった事をきいて綱吉さんに怒鳴ったのはまた別のお話



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