ふわふわ目の前には何粒も数えきれない水蒸気の固まりが飛んでいてわたしのマフラーや頭にゆっくりと仲間をよんでいく
繋がった手からはほんのり暖かい彼の手が変に擽ったく感じて思わず頬が緩む
口は開かない雪を踏みしめる音しかしないこの空気がはたからみれば気まずそうに見えそうだけどわたしにとっては居心地が良くて仕方がない程


「雲雀くん」
「なに?」
「今日クリスマスだね!」
「・・・ああ、そう言えば」


日本でも一大イベントとされているある方の誕生日を彼は忘れている様だった
でも今日クリスマスは並盛中の終業式でもあって風紀委員長兼並盛の秩序の彼は何かとバタバタしていたから仕方なくもない
そっかあ、そう返して中々渡すタイミングがつかめなかったマフラーを彼の首にぐるりと巻き付けた


「わたしから、プレゼント!」
「ワオ・・・いいの?」
「うん?」
「僕そんなお返しなんてないけど」
「雲雀くんはそれまいてくれるだけでいいよ」


わたしって心優しいでしょ?雲雀くんに言ったら口パクでばか と言われてコツンと頭を軽く打たれた
そして背中がまた向いてしんしん積もる雪を一歩一歩とブーツで潰した
目の前にはわたしの家もうバイバイしなきゃいけない、そう思った先に雲雀くんはじゃあね、とわたしに口を開いた いつもならそのまま手をふってわたしも同じ言葉を繰り返すけどどうも声がでなくて、雪に消えてしまいそうな雲雀くんの学ランをとっさに掴んだ


「ひ、ばりくん!」
「どうしたのなまえ?」
「やっぱり、お返しちょうだい!」
「は?」


意味わからない、そんな顔を雲雀くんはするに対してわたしは必死に言いたいことをふわふわ吹く風にのせた


「もう少しだけ雲雀くん、と一緒にいたいの!」
「・・・それだけ?」
「え、あ、・・うん」
「ふうん」


ぎゅう、雲雀くんは其だけいうと私の首に手をゆっくり回してわたしを引き寄せる
ぽかぽか外の空気は冷たいのに雲雀くんの体温が伝わる体は手と同様ほんのり温かかった
雲雀くんも、わたしも只なにも言わないでそのまま真っ白な世界にただ二人、取り残されたみたいに立ちつくしたままだった

言葉はないけど、この空気はだいすきなの、でもきっとこんなこと言わなくてもひばりくんは今度こそ分かってくれるよね?



無言のラブメッセージを白の世界にふわりとのせて、
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テーマ「人外ファンタジー」
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