人生の終りにもう少しで立ち合うだろうその前日はいやに騒がしくみんな明日を忘れた様に笑っていた
運命なんかじゃ収まりきれない明日が嫌い、しとしとと降る雨はまるでわたしを拒む様にやんでいった
もうすぐで朝、雲雀は着物を脱いで冷たくなったスーツへと腕を通している
「もう、行くの?」
「うんそろそろ予定時刻だからね」
「そっか」
生暖かい布団から上半身だけ脱け出して雲雀を見上げた、なんだか楽しそうに見えた顔を瞳に入れわたしは下唇を噛み締めた
マフィアの一員がこんなこと言うのもアレだけど雲雀は変、十年たってもよく分からない思考を持っている
追い詰められた状態で今失敗すれば入江正一共々なくなり世界崩壊も夢じゃないと言うのになんでそんなにも生き生きしていているのだろうか
でもそれも彼の強さなんだろう、私達には弱さを絶対に見せない
「死なないでね」
「君こそ」
「わたしは強いもの」
「それ、強がりっていうんだよ」
「雲雀こそ」
「咬み殺すよ」
ひたり、トンファーが冷たい熱をしらない首へと当てられた
それが強がりなんだよ、と言えば雲雀は何も言わないで私を視線からずらさないままだった
ふてくされたかな、そう思って雲雀のふわふわの頭に手を伸ばして撫でてみた
「わたしの強さはただの強がり、だから雲雀が羨ましいの」
「・・・ふうん」
「わたしも、強くなりたい」
「僕がいるから君は強くならなくていいよ」
「でも、そしたら雲雀、は」
言おうとして口をとめた、ああ何を言おうとしてるんだわたしは、縁起でもないこんなこと口走ったら
いつのまにかトンファーは消えていて雲雀はわたしの頬にゆっくりキスを落とした、髪が瞼にあたって擽ったい
「ごめ、ん」
「別に、永遠なんて存在しないのなんて馬鹿じゃないんだから僕だって知ってる」
「ひば、りごめんね」
「うん」
「わたしが、生きてて」
しとりしとり雨の次は涙がわたしを拒んだ
世界に拒絶されたわたしは雲雀のスーツに必死にしがみついて一人じゃないことを確認する
強がりでもしなきゃきっと、死んじゃうから
「君は、生きて」
みんなみんな、拒んで死んだ、でも
ゆっくり唇に触れたそれだけはわたしを拒絶しない
でも、それでも信じたかったの永遠と言う愛の固まりを