ぼんやり、今日もひまだなあって空を見上げながら日が沈むのを待った
何をしても変わることのない風景の中あなたが来るのをいつまでも待っていた、家族がきてくれるのも勿論嬉しいけれどでもその度にひたりひたり雨を落ちるのをみると心がギシギシ言うから少しだけ嫌
今日はこないか、ああでもエンジン音がピタリなりやんでじゃりじゃり石を踏む音がきこえる


久しぶり、だね


真っ黒なスーツが見えて途端に息がはりつめた、来てくれたんだなんて思う暇もなく口をパクパク、ひたりひたりとわたしも目の前で見ていた家族を鏡で映したかのように二つの無意味な瞳から雨をゆっくり流した
手を使って拭おうとしてもカチコチに固まってしまい動かない
あなたはただ立ち尽くして綺麗な赤い似合いはしない赤いアネモネを冷たくなった石へと添えた
言い訳なんて普段言わないあなたなのに長い睫を下に向けて欝々しい、きっとわたしのせい
視線はあうことなんてなくてぼやける視界が憎くて唇を噛み締める そしてきえた骨を久しぶりに動かした、とけた脳味噌もぐるぐる動かした、まるでおままごと
消えたくないのだってあなたのことわたしのどろどろに溶けた脳でも記憶に残るほどに好きだから
いつ消えるなんてわからないわ、でも、どうか、明日も 貴方に会えなくてもわたしはここにいるよって胸をはって言いたいのよ
だから許してね、私が先に死んだこと



たおやかな恋でした。



此ほどにまで墓と言う檻が憎く感じた事はない、あなたは骨もドロドロになったわたしを愛してくれるかしら?



お墓参りな雲雀
(0114)

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テーマ「人外ファンタジー」
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