最近になってやっと雪解けした屋上は少しだけ寒かったけれど毛糸のカーディガンとぽかぽかのお日様が有れば水溜まりがあろうが関係なく体温は安定していた
あったかいなあ、サボりをした者だけが分かるこの優越感に浸りつつ外見は普通、中身は悪いこのわたしはごろんとコンクリートに寝そべった
瞳を閉じて暫くした後にキィと屋上のドアが錆び付いた悲鳴を上げた、風はないから多分人の手で動かされた其にピクリと反応したけれどわたしはコツコツなる足音が止まるまでは目を開いたりはしなかった


「初恋はみのらないって定義、知ってるかい?」


なんて余裕をかましていたら向かいの反対から視界いっぱいにわたしを見下ろす雲雀くんがいて、びっくりしたり怒られたりするとか頭がフル回転したけれど優しいテノールがぱくり、わたしの耳を食べてしまうかのように彼には似合わない単語がきこえた
ええ!雲雀くんが初恋とか言った!とか思いつつも前髪と学ランの裾が下にむいていていつもより顔がよく見えてちょっぴりドキドキする、宝石見たいな黒の瞳はただ一心にわたしばかりをうつしていてなんだか変な感じがした


「えっと、勿論知ってるけど・・・!」
「僕そういう理屈のない事がすごく嫌いなんだ、ただ初恋でみのらなかった奴の嫉妬にしか思えないから」
「・・・雲雀くん何だか目が笑ってないよ!」
「それで、君には協力して欲しい事があってね」


にっこり、雲雀くんは口許だけ笑って見せてわたしはそれが目の前にあるものだから太陽みたいに眩しくて思わず1、2ぱちぱち目に潤いを求めた
そうすればずん!髪の毛があったかい鉄板にくっついてるおかげで露になってるわたしの耳に雲雀くんの口が近付いてふんわり吐息が突抜けてカチリとスイッチを押したみたいにわたしは固まる


「その初恋定義とやらを覆すことの、ね」


かぷりなんかじゃなくて肉食な雲雀くんはかぶり、とほんとうに美味しくわたしの耳を食べられちゃいました
正直とっても痛いです、耳も、心も(鷲掴みにされちゃいました)


プラネット



「勿論協力してくれるよね?」
「・・・わたしで良ければ!」




(0203)
初恋雲雀
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