生温い空気にどうしてもわたしは侵食されていき目の前の色気をだす魔獣にも驚く事はなくなった
とは言えどやっぱりぴょんぴょん跳ねた髪や首筋、わたしの見たことがなかったものがちらちら揺れるものだから相変わらずの目の行き場に困ると言うのだ
だから逃げる様に黄緑がぷかぷか浮かぶ湯飲みにひたすら向かってまた口をつけた


「目」
「へ?」
「人と話す時は目を見るって習わなかったのかい?」
「・・・雲雀さんの色気が悪いんです」
「ふうん、僕に口ごたえするの」
「いや!ごめんなさい見るので許してください!」


ああもうトンファーとか怖いから持つのやめた方がいいかと思います!十年の間よく警察にお世話にならなかったこのひとにわたしは驚きだ、十年ってきいただけでも凄く長いものなのに其処へひょいと来てしまったわたしも相手からしても驚きにしかならないんだろうけれど
其にしても今の状況からわたしはこの十年後の雲雀さんに大層気に入られているみたい、お呼ばれは頻繁でしかも雲雀さんからお茶を煎れて貰えるなんて本当にゆめみたい、わたしと雲雀さんの中で何があったんだろう・・・


「なにか不満?」
「な、何がですか?」
「百面相してるから、面白いけどね」
「・・・あの、十年後のわたしと雲雀さんって・・どういう関係だったんでしょう、か」


わたしの知っている彼よりはこの雲雀さんの方が気が長いみたいなのですこしの覚悟を決めて口から飛び出した、そうしたら一瞬黒の宝石みたいな目が大きく見開いて次には目と一緒に細く口の端を吊り上げた


「知りたい?」
「そ、そりゃあ知りたいに決まってます!」
「それは残念だ、未来の事をあまり深く教えるのは禁則事項だから駄目なんだよ」
「・・・そんなあ」


もやもや糸が絡まったのはわたしの頭じゃとけそうにないのに、わたしが落胆して畳に手をあてればそれを見た雲雀さんはクスクス笑う
なんだかちょっぴりイラッと頭にきたのでむう、口を膨らませれば淡い色の指先が私の唇をちょこん、軽く抑えるみたいに触れた
顔を上げたらにこり笑ったひばりさんがわたしを見下ろして影をつくる、まるで悪魔みたい


「でも、君の未来に支障のない事なら教えてあげる」


例えば、こう言うこととかね?
そう言って雲雀さんは指先がなぞったピンクを意地悪にぱくり食べてしまった
・・・禁則事項、丸分かりです




意地悪な××事項



(0208)
意地悪な雲雀

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