ひゅうひゅう音をたてて風は髪をすりぬけレジ袋をがさがさ煩く揺らした、わたしは向かい風に向かって圧力をかけられながらも必死にコンクリートから足をはなさないでふんばる、だけどそこをひょいひょいおかまいもなしに重力に引き付けられたままに歩く我等が財閥長は鬼だと思った


「雲雀、さん!待ってください・・・っ!」
「ん?なに」
「歩くの早い、です・・・」
「君が遅いだけでしょ?」
「あ、待っ!」
「其に君は小さいから視界に入らないんだよ」


クルリと一瞬だけ振り向いたかと思えば再度わたしに背を向けてまた雲雀さんはアジトへと足をすすめた、わたしといえば重い荷物をぎゅうと握り締めてまた安定のしないパンプスをならす、なるべくはや歩きを心掛けて黒いスーツを追うけど中々追い付けない、そこでびゅん!と大きく風が勢いをつけてわたしに向かってきた、ちょうど片足が地面から離れたところで急いで足をつこうとしたらグキッ!足から猛烈な痛みを感じて次にはザラザラが私の肌を傷付けていた


「いっ、た・・・!」


結構な痛みがじわじわと沸き上がって小石が散らばるそこに私は荷物も忘れて腰をつけた、高いソプラノは悲鳴を上げる、痛い地味に痛い・・・!血がゆっくり流れた其処をなぞれば赤く腫れるみたいにぷっくらしていた
ってそんな場合なんかじゃないんだ!と思考をフル回転させてわたしは丸い地球上に足をつこうとした、が、その前にと上を見上げれば其は面倒くさそうな顔をした財閥長がマフラーに口を埋めたままにつったっていた


「そんな高いパンプス、こんな風の強い日にはいてるからだよ」
「す、すいません・・・」
「まったく、世話が焼けるね」
「う、わっ!」


わたしに持たせていた買い出しの荷物をすいすい手にかけた雲雀さんは次にわたしの背中と足に手をまわしてそれは意図も簡単にわたしを持ち上げた、パクパク、金魚みたいに口をあけしめするのを何回もする何故なら雲雀との顔の距離がこんなに近くなったのははじめてだったからで、とっても綺麗すぎて瞬きも同じくらいした


「此れなら視界にも入るでしょ」


悪気のないようにわたしに雲雀さんは満足げに呟いた
雲雀さんはきっとしらないんだろう、わたしが雲雀さんの視界に入りたくてこんなお高いパンプスをはいていたこと(効果は半分かしら?)



ウィングの悪戯




雲雀と買い出し
(0303)
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