ごろん、いつもよりも布団が固いなんて思っていたら其はただのカーペットで何処かに飛んでいったと思った枕は其処らにありやしなかった、とにかく肌寒くて視界の端にある毛布を引っ張ったらごろり、何かの塊が腕にぶつかる


「なまえ・・・?」


すうすう、彼女は規則正しい呼吸をしてまだ熟睡中だった、そこでだんだん七時間前位に脳裏にじわじわ焼き付けたものがうつしだされる、そうだ昨日は引っ越し作業でベットがまだ届かなかったから雑魚寝したんだっけ、思い出したらなんだかすっきりしてぼやぼやしていた目も気付けばいつもどおり開いていた
起き上がろうかと思ったけれど流石に雑魚寝でごろごろ転がっていたのが原因か首や肩が重くてそのまま冷えたフローリングに頬をくっつけた、その時にジリリリ煩く響く赤い時計が地面を揺らす、思わず耳を塞いでしまい止めようと思ったけれど僕のいる位置からは手を伸ばしても届かない


「なまえ、起きて」
「・・・ん、ぅ」
「なまえ」
「ぐー・・・」


一瞬起きかけたかと思ったなまえはいつもきいてる目覚ましの音になれてしまっているようで効果はないらしい、はあと溜め息をついてから寝っ転がったままにほそっこい腕を引っ張って唇をかっぽり食べてしまうように包んだ、そのまま喉奥があつくなった其処に舌先を入れてこじあけたら別のところまで驚いたようにパチリと開いた、ジリリリまだ空気の読まない時計が耳に触る、眉を潜めたままに唇をゆっくりはなした


「きょ、やさ!」


今度は違うスピーカーのスイッチが入ったかのようになまえが僕に反論の声を出そうとしたのでスイッチ停止を押すように人指し指を軽く食べたばかりの唇に押し付けて毛布に隠れたちいさな指を探して絡めさせた、さあジリジリ怒鳴る邪魔物を消してベットが来るまで白昼夢をもう一度見ようじゃないか



透明の宇宙に浮かぶ



引っ越しと雲雀
(0304)
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