ストーブをほんのすこしつけただけなのに、設定温度は20度も越えちゃいないが体温は36を悠々と越えてついには37とか其処らでウロウロしている、あつっい、ネクタイをそこらに放り投げてボタンを二つ弾いた、ひゅるりと冷たいのか暖かいのかわからない風が肌に触れる
喉はガラガラ鼻水は花粉症みたいによくでるし冷や汗はとまらない、完全に風邪かと思って市販の薬を一粒か二粒か曖昧に口に放りなげたが一行に治る気配はない、苛々が爆発しそうになってトンファーに手を伸ばそうとしたがあまりにも鉄が冷たすぎて蒸発しそう、触れた掌は溶けそうな程ですぐに其処から手を離した
「・・・ひばりさーん?」
そうしてぼうっとしたままでいたらすっかり日はくれていつの間にかなまえが書類を取りに来る時間になっていた、綱吉も自分で取りに来ればいいのに我が儘でありやしない
ひらひら目の前で蝶みたいに浮かぶ手を目でおえばいつも通りとばかりに髪をあげた彼女が目を見開いたままに僕を見下ろしていた
「・・・書類ならまだだよ」
「いえ、そうじゃなくて・・・雲雀さん大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない」
ぴったり掌をおでこにくっつけてみたらさっきよりも熱くなってる気がする、呟くようにそう言えば彼女はいきなりワタワタして周りをくるくる見渡しだす、その様子をみてゆるゆるゆっくり動き出す脳がはたりと手をあげて喉奥に詰まらせたアイデアを言い出した
「ねえ・・・君って明日、非番だよね」
「はい、そうですけど・・・?」
「・・・ふうん、ねえ知ってる?」
「な、なにをですか?」
「僕は気が長い方じゃないから風邪なんかを治るまで待つなんて出来ない」
「は、はあ・・・?」
「だから」
ぐいっと羽がひらいたワイシャツの襟を引っ張って彼女を引き寄せ角度を合わせたら口先を押し込めるように唇と唇をくっつけた、そしてにがにがした喉とは正反対のウイルスなんて0の喉奥にねじふせるように舌を絡める、ぬるぬる温度が上がるキスはインスタントのカップラーメンが出来上がる数分まで続けられた
「キスしたら風邪ってうつる、ってよく言うでしょ?」
一度唇を話して言ってみせれば彼女は至急ベタな展開だと言うな顔をしてぽかーん犯した唇を開けっぱなしにした、なので蓋をするようにまた唇をくっつける、いつまで続くかわからない感染劇の幕開けだ
酸欠になるまでうつしてあげる
書類は綱吉を呼び寄せて君の看病は僕が直々にやってあげようじゃないか
(0305)
風邪ひき雲雀