神田くんは謎だ
わたしが入団した前からエクソシストらしいけど教団内や部屋では全然見かけないし見かけるとしたら食堂とか鍛練室だけで、自ら鍛練なんてしようと思わないわたしは当たり前に会わないから食堂でみかけた事が多い、いっつも蕎麦を食べているんだよなあ、いつもといってもほんの指折りの数回しか見たことないけれど
そんな彼とわたしは今日食堂でもない鍛練室でもない談話室で発見して、思わず話しかけてしまった


「神田くんだ!」
「・・・何か用か」
「え、いや?別に・・・」
「・・・」


会話終了、カンダくんはラビとは違って友好的じゃないのはなんとなく知っていたけでここまでとは、リナリーには優しそうなのにな、なんて考えてわたしは思考を巡らせる、きっとこんなチャンスないだろう、いそいそと神田くんが座るソファの隣に座った、ギロリ鋭い瞳が向けられ一瞬びっくりしたけどひけをとらないで目線をあわせる、そういえば神田くんをこんな近くでまともに見るのは初めてかもしれない


「・・・美人・・・」
「お前、俺に喧嘩売ってんのか」
「お、女顔なんて思ってないよ!?」
「・・・」
「あああごめんなさい黙ります」


思わず飛び出したことばは神田くんにとって禁則ワードらしい、あんまりにも痛々しく睨まれるものだから負けた、なんか心が折れた
それにしても神田くんは綺麗だなあラビもリナリーもあとアレンくんも美形顔なんだけど神田くんは何と言うか本当に美形、睫毛は長いし色は肌は雪みたいに白く髪色の黒がやけに際だって見える、おんなじ人間には見えないぐらいに、それに神田くんは謎が多いしわたしからすれば未確認物体、言うならば宇宙人に見える


「・・・ねえ神田くん」
「黙るんじゃなかったのかよ」
「神田くんは宇宙人をどう思う?」
「・・・は?」
「宇宙人を、」
「俺は非科学的な事はあんまり信じてねえ」
「つまり?」
「んなのいねーだろ」


さもどうでもよさそうに神田くんはわたしと目をあわさずに答えた、そっか、確かに神田くんは占いとか信じなさそうだし宇宙人なんて架空、そう思えば思う程納得がいくのにどうにも頭ではわかってるのに体は追いつかない、ふいに神田くんの白いほっぺに手をのばした、ぷに、柔らかい人間の肉の感触がして少しだけ落ち着く、神田くんは人間だ


「・・・お前、変」
「いや、神田くんよりは普通だよ」
「どういう意味だ」
「すいませんでした」
「分かればいい」


一瞬目を丸くした神田くんは、今度はわたしをしっかりとみてそう吐いた、そういえばちゃんと会話してる、知ったらなんだかうれしくなってもう一度頬に指をつつかせた、ぷに、神田くんはいかにもうざそうなかおをする、多分もう一回したら怒られそうだ


「神田くん、」
「今度はなんだ」
「蕎麦って美味しい?」
「・・・美味いにきまってんだろ」
「今度わたしも食べようかな」



そう言えばほんのり神田くんは顔を緩めた、蕎麦の話しなったとたん空気がやわらいだ気がするんだけどどれだけ蕎麦ラバーなの神田くん
なんだかやっぱり神田くんがわからなくなった、わたしからみれば神田くんはやっぱり謎だらけ、でもきっとそういう人間だと思えるはず!



宇宙人と交信中





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