ざっくざっく、ほんのすこしコンクリートに薄く伸ばしたような雪をムートンブーツで踏み付けてみみあてをあてなおす、ふわっと広がる白い吐息と震えたくなるような寒い寒い風が冬だと実感させた


「何が楽しくて大晦日に部室掃除何かしなきゃいけないの・・・ぶるる、寒!」
「まあ文句言うなや、四天宝寺恒例行事やしなあ」
「まだ昨日より寒ないからええやろ!」


右隣に歩く綺麗好きな白石は面倒という顔をひとつせずわたしをあやした、にっこりとそんな爽やかな笑顔向けられたら文句の二つ目は出てこない、それに反して左隣の謙也は制服にマフラー一つ、因みに学ランの中はTシャツの薄着なのにニカッと太陽みたいに笑う、見るからに寒そう、てかわたし昨日外出なかったから今日より寒いかなんてわからないもん、どうせ引きこもりですけど!なにか!その前に普通に寒いし、こんな日はお家でコタツに入ってぬくぬくしたかった


「コタツの、ぬくもりが欲しい・・・」
「ほんま寒がりやんな、俺手めっちゃほかほかやで」
「うわっ謙也あったか!人間カイロ!」
「俺は鉄粉で出来てへんわ!」
「俺もなまえよりはあったかいと思うで」
「・・・本当だ、謙也は絶対あっかいと思ってたけど白石は絶対冷たいと思ってた」
「何でや?」
「だって手冷たい人って心はあったかいって言うから」
「あれ?なんか俺さりげにけなされてへん?あれ?」


二人の手の平に触れてぎゅっと握ったらじんわりと温かい体温が流れ込んでくる、一度温かいことをしったらコタツと同じで抜けられない訳でそのまま握っていたら二人ともぎゅっと握りかえしてくれてあたたかな電気が走った、別に謙也が冷たいなんて言ってないよ、こうやって手繋ぎ返してくれるし、そう言おうとしたけれどなんだか気恥ずかしくなってしまい口を濁らせぐるんぐるんに巻いたマフラーに唇を隠した


「でも、やっぱ寒い・・・」
「あーそえば去年部室の棚整理してた時コタツっぽいの見っけたわ、あれまだあるんやない?オサムちゃんのゆーてたしな」
「え!?本当!?」
「それなら俺もしってんで、ロッカーの上にあがってるやつやろ!」
「そうそう、もしかしたら使わせてくれんとちゃ」
「早く行くぞ野郎共ー!」
「うわ、なまえキャラかわっとるで」
「気にしてられっかあああ」
「おう!?まけへんでー!浪速のスピードスターちゅー話や!」


バタバタ近所迷惑にも程があるくらいにアスファルトに足音を響かせて私達は走る、謙也とわたしが全力で先を走りそれに一本半遅れて釣られるように呆れながらもついてくる白石、そうもちろんあったかな手は両手とも離さないままに、白石ファンとか謙也ファンとかに見付かったら煮て喰われてしまいそうだけどそれも気にしてられない、だってこれがわたし達の関係だから、いままだってこれからだって変わるものなんかじゃない、スピードスターな謙也も聖書な白石も、寒がりなわたしも、勿論当たり前に来年もこうやって手を繋いで走り抜けて笑うんだ
そう思って謙也をみたらきっと意味なんかわからないはずなのにやっぱり太陽みたいにきらきらわらってくれて白石もほんのすこし照れたように笑ってくれた
空はまだ、高い





「・・・はあっはあっコタツー!」
「ちゅーか走りすぎて逆にあついんやけど」
「確かに・・・あっついわ」
「と、とれない・・・なんでロッカーの上なんかにあるの」
「ほい、なまえ机使えや」
「ナイス白石!」
「・・・待て、その高さで登ったらあかんちゃう?」
「なんでや謙也?」
「いや・・・なまえ一応スカートやし」
「!俺がとったるわ」
「パンツなんか気にしてられっ」
「「気にしろあほ!」」


そのあと謙也に無理矢理止められてその間に白石がコタツをとってくれてテキパキとセットしてくれて、やっとわたしは正常に戻った


「白石ー大掃除きたでーってなんやコレ」
「あらんなまえはんやない?」
「寒かってコタツだしたんやけどそのまま入ったまま寝てしもてん」
「丸まって寝てるたい、むぞらしかー」
「つんつんしても起きへんわー」
「金ちゃんそっとしときい」
「ってなんで財前も入ろうとしてん!?」
「寒いねんもん、別に一緒に入るだけでやらしいことするわけちゃうんですからええでしょ」
「なっ!?」
「あー謙也くん何想像したんスか、やらしー」
「ちゃ、ちゃうわ!」


むにゃむにゃ



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