ひばりさんがねている

珍しい事もあるものでわたしが襖を開けたら其処はもう夢の中で雲雀さんはすうすう寝息をたてていてヒバードまでもが机にとまりぴくりとも動かす瞳を閉じていた
なんとなくおかしくってクスクス起こさないように口を抑えて笑って次に押し入れをあけてゆっくり毛布を取り出した、いくら春といえど風邪ひいちゃうから
雲雀さんが座椅子に腰かけたまま寝ているからそのまま上からかけてしまって、そしたらことんと腕組をしていた片腕がはみだしてしまう、毛布を引っ張って全身が見えなくなってわたしははりつめていた息をといた



「ひばりさん」



ちいさな声で呼んでみたけどやっぱり起きてないみたいで雲雀さんはぴくりとも動かなかった
ちょっと暇だし誰もいないし、雲雀さんが寝てるなんて珍しいから遊んじゃおうかなあ、そう思ってポケットから携帯を取り出してカメラモードに設定してみる
カシャリ、無音のシャッターがなってわたしはまたクスクス笑った
どうしよう、撮っちゃった雲雀さんの寝顔!


「・・・ひばりさーん?」


一瞬眉間に皺がよった気がしたがまた声をかけても同じ反応、良かったまだ寝てるんだ、きっとここで雲雀さんが起きたらわたし携帯没収半咬み殺されの刑だよなあ・・・良かった、あぶない
口からでかけた物騒な言葉をひっこめて目の前にある顔に焦点をあわせた、前髪が短いからか普段の彼にはない幼さがあって、わたしはちょっと手をのばす
ぽすん、いつもヒバードが占領しているふわふわの髪の毛に触ってゆっくり撫でてみた、ん・・・、と雲雀さんが気持よさそうに真っ赤な唇から息をだす、その姿がどうしても可愛くみえて、わたしはいてもたってもいられなくなった
するする手を落下させてはじめて雲雀さんの頬にふれる、上がりすぎた体温に彼のすこし冷たい頬は気持が良くて


「・・・恭弥さん、・・・好きです・・・」


愛しい愛しい、飲み込めずにいた言葉はついにわたしの口からぽろりと落ちてしまった、離れようとすこしふつむいた顔をあげて手を頬から引いてもピタリと離れなかった、あれ?わたしはびっくりして目を丸くしたら雲雀さんの大きな手がわたしの腕を手錠の様に拘束してまるい瞳が露になっていた、目がパッチリあってそれからもそらせない


「・・・好きって、どういう意味・・・?」
「へ、あっ、」
「ねえ、答えてよ」


雲雀さんは起きていた、いつから、とかそんなの関係なしにわたしの口はもごもご、雲雀さんは其をみて握られていた手首を自分の顔の斜め横にスライドさせた、行き先は真っ赤な唇


「場合によっては良い答えをあげる、勿論友達の好きは論外だけどね」


それから、引き寄せられた手は唇にゆっくり触れてまるですいよせられたかの様だった
雲雀さんは笑う、比べてわたしと言えば顔を真っ赤にさせてただうつむいたままだった


「・・・ひばり、さん」
「なに?」
「雲雀さんを、わたしにください」
「・・・それ、僕の台詞だよ」



寝息を泥棒



「そういえば、」
「なんですか?」
「恭弥さん、じゃないの?」
「・・・っ、ななな!」


結局全部きかれちゃったとかそんなの



(0622)
寝る雲雀
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テーマ「人外ファンタジー」
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