拍手SSまとめ | ナノ
2/24更新分


「似合う〜!似合うよ善逸!」

2月22日は何の日でしょう?猫の日でぇ〜す!と張り切りまくっていた善逸は今いずこ。
どよんとした空気を背負いながら半泣きになって恥ずかし気に歯を噛み締めていて、今きゃっきゃとはしゃいでいるのは主に私の方。
そんな善逸の頭の上には黒くて三角のふさふさお耳がふたつ。俗にいう猫耳カチューシャ、というやつですね。

「こういうのはね、女の子がつけるもんなんですよ!大昔からそういう風に相場が決まってるんですよ!何が楽しくて男の俺が猫耳つけなきゃいけないの!?」
「じゃんけんで負けたの、善逸じゃん」

100均にはどうしても黒猫耳か白猫耳しか置いてなくて、善逸のきれいな金髪と馴染む色は残念ながら見つけられなかった。
白の方が金に近かったかもしれないけど、黒を選んだことで逆に、猫耳つけてますよー!ってのが際立ってていいかんじだし。
善逸が楽しんでくれるならつけるのは全然構わなかったんだけどふと思いついて、じゃんけんで善逸が勝ったらね、って条件つけて良かったー。
猫耳を付けて恥ずかしそうにぷるぷる震える善逸は想像した以上に可愛かった。

「ねえねえ、にゃあっていってみて?」
「俺が嫌がってるのまで含めて楽しんでるよねえ!?」
「とーぜん」

この庇護欲掻き立てっぷりはあれだな?だぼだぼパーカーなんて似合うんじゃないか?
善逸の家で着るように置いてある私の男性用XLパーカーが、確かクローゼットの中にしまってあるはずだ。部屋着は大き目サイズに限るというのが私のこだわりである。こんなところで活きるとは。

「みつけたー!善逸これも着てみてよっ、わっ、ぶふ、」

あったあったーと上機嫌でハンガーから外し、広げて見せながら善逸の方を振り返ると、何故かそれは瞬時に奪われて私の視界は真っ暗になってしまった。
慌てて身をよじればすぐに謎の真っ暗から開放されたけれど、目の前にはしてやったり顔の善逸。そんでもって何故か私の方がパーカーを着せられていた。腕は通せてないけど。
そして覚える頭の違和感。腕はパーカーの中にあるので触って確かめることはできないけど、目の前の善逸の頭からそれが消えていたので、違和感の正体はすぐに分かった。

「ほぉーらね!?やっぱりこっちの方がしっくり来るよ!そもそも何のために黒にしたと思ってんの!?お前の暗めの髪色に合わせるためだからね!?」

気付けば私の方が、さっきまで自身が善逸にさせようとしていた『猫耳カチューシャ、だぼだぼパーカー付き』の恰好をさせられている。
そうですよ!これですよ!と強めに肯定されながら至近距離で頭上のカチューシャをもふもふと触られるものだから、全然構わないと思っていたもののだんだん恥ずかしくなってきた。
もぞもぞと手の出口を探して、指が出きらない袖で苦し紛れに口元を隠す。

「…、似合う?」

善逸の顔が面白いくらいにバフンッ!!と爆発した。

「っ可愛い!めちゃくちゃ可愛いに決まってんでしょーが!!」

恥ずかしそうにする猫耳善逸ももっと見ていたかったけど、最初からこれでよかったんだよ!と私のことをぎゅうぎゅう抱きしめながら満足そうにしている善逸も悪くないので、今日のところはあれ以上は勘弁してあげよう。



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