「どうしましたー?」
「なん、でもなっ…」
「何でもなくないじゃんかよー」
「何処、行ってた…の?」
「これ食べるかなーって」
グイと差し出されたのはソフトクリーム
『くれるの?』って顔で見つめたら『いらなかったら捨てて下さい』なんて言われてしまった
「ん…、甘い」
「そりゃそうですよー」
「ねぇ、フラン」
「はいー?」
「楽しい?」
「楽しいですよー。先輩は楽しくないんですかー?」
そう言ってくれたフランは確かにいつもより表情が軟らかくて優しかった
よかった…
あたしだけじゃなかった
「ううん。楽しい」
そう頬を緩めて返したらフッとフランの表情が変わった気がした
今…笑った、のかな?
「ねぇフラン、今っ…」
「ほらー、食べたら行きますよー」
「えっ?」
「見るんでしょー?サマーショー」
「…うん!」
差し出された手を握るとエスコートするかのようにフランが歩き出した
ミラーハウスやコーヒーカップ、ジェットコースターの間をすり抜けて大きな広間に出た時にはもうサマーショーは始まっててキャストから発射される水鉄砲がじかに当たった
勿論ビチョビチョになってしまったあたし達
お互いに顔を見合わせて笑ってしまった
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