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10文字以内で理由を述べよ
「う"ぉぉい!こりゃどういう事だぁ!!」
「もうっ…スクアーロ、どうしたのよっ?」
屋敷中に響き渡った俺の怒鳴り声を聞きつけて来たらしいルッスーリア
手にあった紙を押し付けて見せた
「あらこれメルちゃんの字じゃない」
丸っこくて女らしい字
これがメルのモンだって位お前に聞かなくても分かるぞぉ!
問題はそこじゃねぇだろうがぁ!!
「内容見ろ、内容!」
「……あら」
「あらじゃねぇだろうがぁ!あの女何考えてやがんだぁ!!」
「むさっ苦しいヴァリアーが嫌になったのかしら?」
『ヴァリアーを辞めようと思います。今までありがとうございました。それと、こんな時に出てしまってゴメンナサイ』
何家出少女みたいな事してんだっ
大体昨日また一緒に茶飲めって言ってきたのはメルだろうがぁ
「おい、オカマ」
「あらベルちゃん、どうしたの?」
「ちょっと用あってメルの部屋行ったらアイツのモン無くなってたけどどうなってんだよ?」
「…スクアーロ、どうするの?」
「アイツが本当にヴァリアーを出て行くってんなら…、殺る」
過去は捨てる
未来は捧げる
それがヴァリアーに入った奴には絶対
簡単に辞められない事くらいアイツだって分かってる筈だぁ
どんな奴だろうと秘密を漏らされる可能性が1%でもあれば俺達はソイツを消さなきゃなんねぇ
メルも例外じゃねぇ
書き置きを握りしめてポケットに突っ込んでテラスに出る
もしかしたらまだ敷地内に居るかもしんねぇ
勢いよくガラス張りの扉を開けて出れば意外にも屋敷を出たばっかりだったらしく小さな背中はすぐ下に見えた
「っ、う"ぉぉい!メル!!」
「…スクアーロ」
「あの紙なんなんだぁ"!」
「そのまんま、だよ?」
「10文字以内で理由を言えぇ!」
俺の怒鳴り声に『無茶だよそんなの』とかほざきながら苦笑いをするメル
無茶なんかじゃねぇだろ
『ゴメン、冗談だよ?』
で充分じゃねぇかぁ
「…『ありがとう、スクアーロ』」
「理由になってねぇじゃねぇかぁ!」
「じゃあ…『 』」
「っ…」
小さく呟くように言ったその言葉もしっかり聞こえた
俺に背を向けて歩き出すメルを斬らなくちゃなんねぇのに出来ねぇのは…
きっと俺がメルに特別な感情を持ってるから
俺も甘くなったなぁ
......
(暗殺者失格だなぁ)
別れ際にんな事言うな馬鹿女ぁ
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