Sei molto tempo お兄様!



「ベルちゃーん!お客様よー!」

談話室のソファーで横になって脚を外に放り出したままテレビを見ていた俺
オカマが俺を呼ぶ声が聞こえて仕方なく起き上がる事にしたけど

男に『ちゃん』なんて付けるなっての

談話室を出て玄関に足を運ぶとオカマが内股で立って俺の方に手を振っているのが見えた

うわ…キモっ

でも口にはしない
下手にんな事言ったらぶっ飛ばされるしな


「んだよオカマ」
「ベルちゃんに可愛いレディーのお客様よ」
「可愛い客?」


女っつー事は愛人か?
でもなんでヴァリアーに来んだ?
ってか可愛い女なんて居たっけ?

愛人っつっても

厚化粧のブスとか
ただ乳がデカイブスとか
妙に馴れ馴れしいブスとか

俺の興味のないブス女
まぁ女なんて体が慰められりゃどんなヤツでもいいけどな

王子と釣り合うヤツなんて居ねぇんだし


玄関に立つオカマの隣に立って外を見たけど俺の客が見当たらない


「…誰も居ねーじゃん」
「あら?さっきまでそこに…」

「ししっ、糞餓鬼に幻覚でも見せられたんじゃねぇの?」

「まぁっ、失礼ねっ!アタシだってまだまだ若い子には負けないわよん」

「うわっ、ババくせっ」
「誰がババアよっ!!」


でも人の姿も影も無ければ気配も無い

俺達を欺けるような奴が居る訳ねぇしやっぱりこれはオカマの勘違いだな


「王子戻るぜ?」
「じゃあアタシもパイでも焼こうかしら」


背を向け扉を締めかけた瞬間馬鹿デカイ力を背後から感じでバッと振り返る
オカマもそれを感じたらしく直ぐに体を反転させ小指を立てて戦闘モード

王子いつも思うけど立てたまま戦ってよくあの小指折れないよな

冗談は脳内だけに留めて胸元からナイフを取り出して力を感じた方に投げた

けど

ナイフが刺さったのは玄関前にあるデカイ柱
他に何もない

いやっ、確かに力を感じた方に投げた
王子が間違える訳ねぇじゃん

久々に背中をゾクリとした悪寒が走った
それはオカマも同じだったらしく少し顔色を悪くしながら俺の方を見た

うわっ、さっきよりキメェ


「な…に、かしら?」
「…王子もわからね、っ!」


分からないそう言おうとした瞬間下半身にドンとデカイ衝撃とさっきの馬鹿デカイ力を感じまたナイフを構えたら


「お久しぶりですお兄様!」


「なっ、アル?」




......

(えっ、ベルちゃんがお兄様?)

(何でお前が居んだよ!?)



久しぶりに逢った妹はあの頃と変わらず可愛かった

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