「ベル様…ケーキが可哀想です」
「あん?何言ってんの?毎年こうじゃん」
「まぁそうですけど、せっかく綺麗に作ったのに」
「ん、やっぱ美味い。ほらイチカも食えよ」
乱雑に取ったケーキを口元に運ばれる
ベル様の為に作った物だけれどこうされたら食べなくちゃ何を言われるか分からないから大人しく口に含む
ん、甘い
「やっぱさ、イチカ、嵐部隊辞めてヴァリアー専属のパティシエになったら?」
「そんなっ」
「だってお前危なっかしいじゃん」
「私はベル様のお傍で頑張りたいんですっ」
「傍ってもイチカが行くような任務王子には回ってこねぇし」
「確かに私はヴァリアーで最弱かもしれませんけどっ…」
そう、あたしは一番弱い
それはどんなに戦闘訓練を重ねても変わる事は無かった
だからあたしに主な仕事はベル様の任務報告書の代筆や雑用
たまに回ってくる任務は本当に簡単なモノや聞き込み、情報収集等子供にも出来るようなモノだった
「俺としてはイチカを任務に行かせんの嫌なの」
「ベル様と一緒に居られるだけでいいんですっ。ベル様が怪我をなさったら私が治療したいんですっ」
「王子んな怪我なんてしねぇし」
「してます!」
「あん?」
「…リング争奪戦の、時とか」
「あん時位だろ?」
確かに大きな怪我をしたのはあの時位かもしれないけれどそれでも
それでも私は…
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