「あーあ」
「王子悪くねーし」
「…知らないっ」


バッサリと切り落とされ手元に固まっていた前髪を少し摘んでため息

これじゃ皆の笑い物にされる
フランとかフランとかフランとか…

短くなってしまった前髪を触りながら鏡を見ていればベルも抱きついたまま覗き込んできた


「イチカ?」
「……何?」


本当は暫く無視しようと思ったけどそれじゃ後々面倒だから反応してあげる

顎を掴まれて向きを変えられ無理矢理顔を向かい合うようにされた


「なっ…何?」
「やっぱ短い」
「そっ、そんなの分かってるもん!」


ニッと笑みを浮かべてから髪を撫で額にキスをしてくるベル
突然の事で目が丸くなるのが分かった


「べ、ル?」
「でもこれも可愛いぜ?」
「突然何よ」
「思った事言っただけだし」


ベルは前髪を指先で確かめるように触りながら何か良いものを見つけたらしくドレッサーの上に手を伸ばした


「こうすればもっと可愛いくね?」








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