24話の続き
さっきまで此処にはあいつがいた。何歩か歩けば触れる事が出来る距離に。でも今は誰もいなくて、俺だけが暗い部屋の中にポツンといる。目の前にある階段を上り中央に置かれている長椅子を触る。もうあいつの温もりはなくてただザラザラとした感触しかなかった。椅子の裏にあるあいつが消えていった扉は固く閉ざされ、開く気配が見えない。俺はそのまま崩れ落ちる様に座り込んだ。ドン、と一回扉を叩いても何も反応はない。俺はそれから何回も扉を叩いた。するとポツポツと絨毯に落ちる沢山の涙の雫。扉を叩く力も次第に弱くなり最後は扉に倒れ込む様な形になった。
「…ど、うして…どうして、お前…なんだ…よぉ…っ!」
連絡が取れなくなって数ヶ月。まさかこんな形で再会するなんて思ってもみなかった。いや、思いたくなかった。俺は雷門中の監督、あいつはフィフスセクターの聖帝。お互い敵同士の関係だなんて。ホーリーロードの開会式の時、俺は一瞬息が止まった。何でお前があんなとこにいるんだ。サッカーが好きだったお前が何でサッカーを潰そうとしているんだよ。何で、何で!
昔、お前がいつも隣にいてくれたから俺は今こうやって存在している。本当に忘れてしまったのかよ?俺達の関係はそんなに簡単に忘れるくらいのものだったのか?
「…お前は…もう、俺の隣にはいてくれないのか?…なぁ……修也…」
俺の問いには答えてくれなかった。
title.変身