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(C)Yuuki nanase 2010 - 2013



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一方通行に見せかけた愛情
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突然ですが、わたしには10個年下の弟がいます。

以下、弟のスペック

18歳
高校三年生
超進学校の一番優秀なクラス所属
かなり偏差値の高い大学合格判定A
運動神経抜群
引退前はバスケ部キャプテン
身長183センチ
ジャ○ーズ系のイケてる顔

と、本当にわたしの弟かと疑いたくなるぐらいのハイスペックの持ち主だ。こんな男が近くにいたらそりゃ女子生徒は放っておかないさ。おそらく私が同級生でもちょっとぐらい興味をそそられることはあるだろう。

にもかかわらず、弟はほとんど同年代の女子たちと交流を持とうとしないのだ。姉としてこういう発言はどうかと思うが、彼女の二人や三人や十人なんて作り放題だろうに。

だがその昔、一度だけ弟が「彼女」というものを我が家に連れてきたことがあった。姉としては弟の成長が嬉しくもあり、複雑でもあったが、最終的にその彼女を歓迎した。しかし、その翌日に別れたのだと弟から報告があったのだ。そこでわたしはいくつかの質問を弟にぶつけてみた。

Q.どのぐらい付き合ったのか?
A.1週間

Q.なぜ別れたのか?
A.「お姉さんの話ばっかりしないで!私とお姉さんとどっちが大事なの?!」と問われた結果「姉貴」と即答したから

Q.どうして付き合ったのか?
A.姉貴に似てたから

ここまでで御察しいただけただろう。


そう、我が弟は極度のシスコンなのです。




弟と買い物中に街中で知り合い(女)にばったり出会ったら

「え?宮川さんの彼氏?すごいイケメンね」
「はじめまして。姉がいつもお世話になってます」
「この通り弟なので彼氏ではないです」

と、ちゃんと弟として爽やか笑顔で挨拶するくせに、遭遇した相手が男だったら

「梨子がいつもお世話になってます」
「あ、宮川さんの彼氏だったんだ。邪魔しちゃ悪いから俺はこれで」

って、誤解を招くような挨拶をするので非常に困ってる。んだけど

「なー。あねきー」
「なにどうしたの」
「次いつデートしてくれんのー?」
「しばらく仕事が繁忙期だから休みの日は家でだらだらしてたい」
「まじかよー」

って、家のソファーでくつろぐわたしの膝に頭を預けてくる仕草が可愛いもんで。(いかんせん180センチ超と図体だけはデカイのでソファーからはみ出してるけど)

「受験勉強はどうした」
「今日はもうしない」
「落ちるよ」
「それ受験生に言う言葉じゃねぇよ」

大丈夫よあんたは。筆記用具を忘れて行かない限りは。

「こんな姉にくっついてないで若い女の子たちと青春してきなよ。今からでも遅くないから」
「俺は姉貴がいいんだよ」

ガバッと起き上がった弟がじっとわたしを見る。

「姉貴が世界で一番可愛いよ」
「ありがとう」
「お世辞とか思ってんの?俺ホンキで言ってるんだけど」
「わかってるよ。あんたの愛情はちゃんと受け止めてるよ。わたしも我が弟が世界で一番可愛いと思ってるよ」
「びみょー」
「なんでよ!」

不満そうな表情も相変わらずイケてるなぁ、まったく。

「姉貴がかまってくれないから部屋戻る」
「勉強するの?」
「いや、昼寝。一人で寂しく。俺めちゃくちゃ可哀想」

あーあ。完全に拗ねてる。仕方ないなぁ。

「受験終わったらどっか旅行でも行く?卒業旅行」
「い、いいい行く!!」

犬の耳と尻尾の幻が見えるぐらい嬉しそうなカオ。そんなに喜んじゃって。

「だから絶対に前期日程で片付けなさいよ。後期まで持ち込んだらナシね」
「任せろ!」

そしてスキップしながらヤツは部屋に戻って行った。

「ほんと、可愛いやつめ」

なんだかんだでわたしもブラコン。


一方通行に見せかけた愛情


(20130404 - 20130712)






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