私スタイル。






「やぁナギちゃん!
今日もご苦労様」


「ありがとうございます。博士、今日は速達なんでハンコをお願いします。」


今回の配達先はワカバタウンのウツギ博士。
オーキド博士からの書類らしい。


「はいはい。
ええっと、確かこの辺に…」


がさがさとハンコを探している博士のデスクは、難しそうな研究書や書きなぐられた紙などで散乱していた。


「…博士、なんならサインでもいいですけど…」


バサバサと紙の山を崩し始めたのを見て、時間がかかりそうと判断したナギは苦笑いを浮かべながら助言した。


「いやぁ、悪いねー」

「いえ、確認取れればいいので」


むしろこのあとの仕事がつまる方が困る。
というのは飲み込んでおいた、
ははは、と頭を掻きながら笑う博士の目の下には隈があった。
先日ウツギ家に行ったときに奥さんが心配していたのをよく覚えている。


「博士また寝てないんでしょ。奥さん心配してましたよ。」


「あはは…」


博士はバツが悪そうに笑った。


「じゃ、今夜はちゃんと帰って寝てくださいね!

では、私はこれで!」


「そうだね。ありがとう」

制服の帽子をかぶり直しながら研究所をあとにした。


これは私の持論だけど、
配達員たるものは、紙に綴られた言葉だけを配達するんじゃない。と思っている。


お節介で世話焼き。
それが私のスタイルなのだ。






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