あかりがまぶしい
11.不可解
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『早く僕から離れればいいと思います。迷うことなんて何もない、僕は何も思わないから----こう言ってあげると思いますね。
 まあ、浮気をどう定義するかにもよりますけど』

 これに対する返信も、速かった。つまりいつも通りの反応だ。

『本当に、本当に何も思わない? だってそれ、好きでいることの約束に対する裏切り行為じゃない。約束っていうか、契約?
 約束とか以前に、相手の思う気持ちに対する裏切りでもあるわけだから、そんな簡単に許すべきじゃないんじゃない? 
 ……と、わたしは思います(笑)』

 対面していないからだろうか、こんな強い発言は彼女にしては珍しい。
 嫌われるのは確かに面倒だが、何とも思っていない人に好かれる方がもっと面倒なんだよな……。そうと頭では分かっていながらも、未だに後者の対処法を知らない僕は、ただ嘘をつかないことに神経を使った。

『僕は、僕が出来る精一杯のことを常々彼女にしてあげたいです。希望があるなら出来る限り応えてあげたいし、それで彼女が幸せになれるなら、それなりの努力も惜しまないつもりではいます。
 それでも彼女の気持ちが僕でない人の方に向いたなら、それは僕の努力か魅力の少なくともどちらかが足りなかったんだと判断しますね。そのことで彼女を責められる理由なんてどこにもありません。』

 そうだ、左良井さんに非なんてどこにもなかった。僕が彼女の隣にいる人間として相応しくなかっただけなんだ。

『無理して僕に付き合っているのなら、一日でも早く解放させてあげたいと考えます。だから、早く僕から離れることを勧める。
 ……と、僕は思います(笑)』

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