あかりがまぶしい
9.不安な予感
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 後期の期末試験の日程がすべて終了し、二ヶ月間という長い春休みを迎えた。今日は一年の慰労会というか、つまり学科全員と先輩たちを集めたただの縦コン。
「越路くんは、お酒好きなの?」
 永田とちびちびやっているところに背後からひょこりと現れた可那子さんは、僕の隣に遠慮がちに正座した。
「好きか嫌いか分かるほど飲んではないけど、まあ嫌いじゃないかな」
「へええ、意外! えへへ、また一個、越路くんの新しいこと知れたぁ……」
 いくらか話した後、また来るね、と言い残して僕と永田に手を振り、女子が固まっている方に戻っていく。
「お前と可那子ちゃん……うーん、似合うような似合わないような」
「あれ。僕、永田に言ったっけ」
 可那子さんの強い要望で、学科のほとんどが僕らが付き合っていることを知らない。名前も、二人でいるときは下の名前で呼んでいるけれど、学校では以前のように名字で呼んでほしいと言われた。きっと可那子さんは学科にいづらくなることを心配しているのだろう。
 気をつけていたはずなのに、永田が唐突にそう言うから僕は少なからず驚いた。
「可那子ちゃんから直接な。一人くらい知ってる人がいた方が心強いんだとよ。……最初は俺が狙ってたのに、上手い事かっさらったなあ」
「ふうん。狙ってた割に積極的じゃなかったね」
「そりゃあれ、虎視眈た……」
「もう〜意味分かんない〜死ぬ〜」
 格好つけたような四字熟語を言いかけた永田が突然視界から消えた。
「僕たち〜メアド交換しよ〜」
 永田の首に腕を巻きつけて、勢いよくもたれかかる女の人。スキをつかれた永田は間一髪、テーブルに額を打ち付けることなく重みに耐えている。

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