あかりがまぶしい
13.仲良し三人組
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「生徒会に知り合い?」
「中学の時、世話になった先輩。今は生徒会書記やってるんだ」
 我が物顔でずんずんと建物の中に入り込む。狭くて急な階段を上がって辿り着いた扉には「生徒会へようこそ!」の文字が書かれたブラックボードがぶら下がっていた。ハセは用があっても僕は全く用が無い。きっとこの部屋に入るのも今日が最初で最後だろうと思いながら僕はただハセの背中についていく。
「失礼します!」
「お、馳! 早かったな」
 ハセは知り合いと思しき先輩と話しながら、生徒会の人々の輪にこれまた我が物顔で入り込む。ヤツのそういうところは今までも、尊敬半分呆れ半分で見続けてきた。
「んで、入会希望です! 二人」
「ほんとか! サンキュー、馳!」
「え?」
「おおお! 早速新規会員が二人も!」
 突然の盛り上がりに僕の疑問符は容易く掻き消される。
「よろしくな、ケン」
「じゃこの名簿に名前書いてもらっていいかな」
「ちょ、あの」
 僕はその場の雰囲気に呑まれて渋々記名をしてしまった。



 春の小道はまだ冬の名残を残している。ブーツでガツガツとアスファルトを蹴りながら、僕は帰路を急いだ。
「悪かったってー、一人じゃ踏ん切りつかなかったんだよー」
 後ろから声が聞こえても歩調を緩める気はない。
「だからって騙すことないだろう」
「だってケン絶対断るじゃん。絶対生徒会室にだって入ってくれなかったっしょ? ケンと一緒に仕事できたら絶対楽しいって思ったんだって! お願い、許してー」
 中学時代のハセは学年委員長を任されていた。人望、カリスマ性、豊かなアイディア。若干の鈍感さを除けば、彼は僕にないものをすべて持っているような人間だ。
 なんで僕なんだよ、というセリフはかろうじて飲み込む。
「……僕は、必要最小限のことしかしない。それでいいの?」
 一度だって吐き出したことがないのに、何回飲み込んだか分からない。
「てことは、許してくれるのか」
「それとこれとはまた別」
「でも辞めないんだよな?」
「……まあ、入ってすぐ辞めるのは失礼だし。ハセの面子もあるし」
 サンキュー! と僕の背中を音が出るほど強く叩く。
 その痛みに、許したことを後悔した。

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