「今日はなんの日だか知ってる?」

「あ?」

リビングでくつろいでいた金時が急に立ち上がってキッチンで洗い物をしていた土方の後ろにまわって腰を抱く。
質問をしながら肩に顎を置くものだからかかる吐息が擽ったくて思わず肩が揺れた。

「なんだよ急に」

「んー?十四郎は天然さんだから知らないんじゃないかなって思って」

くすくすと笑みが聞こえてきてその度に金色の髪が首筋を擽る。

「おい、金。くすぐってぇって」

「ごめんごめん」

謝りながらも離れる気配のない金時にしょうがない、と土方は息を吐いた。

「で、今日はなんの日なんだ?」

「え、本当にわかんない?」

「‥・、わかれ、バカ‥・」

むすっと頬を膨らませてキュッと蛇口を捻って水を止める。
手を拭きながらくるりと体を反転させると、綺麗な二重目蓋がゆっくりと弧を描いた。

「しょうがない、金さんが教えてあげよう」

唇が触れるか触れないかの近さまで距離が詰められ、必然的に鼻先同士が触れ合う。
それがなんだか擽ったくて少し身を引けば離さないというように腕の力を強められた。

「今日はね、俺の大事な人の誕生日」

「へぇ‥・」

「すっごく大事なの。もうこの世の中で一番って言い切れるほど大事な人」

「‥・恥ずかしいやつだな、お前」

「だって本当のことですから」

生まれてきてくれて、ありがとう。
そう囁かれた瞬間待ちわびたというように唇同士が重ねられた。





Happy Birthday!




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