黒目マヨ
地下鉄のホームで君を見た
キラキラ光る銀髪を見つけた。
あ、と思わず声をあげてしまう。けれど幸いにも周りには聞こえて無かったようで、ほっと胸を撫で下ろした。
通勤で使う朝の地下鉄のホーム。
人でごった返す中、一際目立つそれを見つけるのが土方の日課だった。
初めは暇潰しのゲーム感覚だった。けれど続けて行くうちに気になり出して、もっと知りたくなった。
なんて少女マンガチックな話しだ、と自分でも呆れるが惚れてしまったものは仕方がない。
そっと息を吸ってちらりと先ほどの銀髪を探せば、件の男はいつの間にか全身が確認できるほどの距離にいた。
(ちか…い…)
どくりどくりと心臓が変な音をたてて土方を急かした。
いつもは乗る車両が違うため見るだけでとどまっている。それが今では、手を伸ばせばその銀髪に届くのではないかと思うほどの距離にいる。
触りたい、なんて、バカなことを考えながら、何を馬鹿な、と自嘲してゆっくりとうつ向いた。
だから、土方は気づかなかった。その男がニタリと笑ったことに。
「おにーさん」
「ぉわっ!?」
視界に入っていた爪先の前にひょっこりと銀髪が映り込み、驚きにすっとんきょうな声が口から漏れる。
一体なんだ、と恥ずかしさを誤魔化すようにキッと原因を睨み付けて、声の主を見留めた瞬間、目を見開いた。
「ごめんごめん。そんなに怒らないでよ。」
びっくりさせてごめんね?と笑うそれはなんと今まで考えていた相手だったのだ。
「はは、お兄さん固まっちゃった。ね、俺のこと、いっつも見てるよね?」
キラキラと瞳を輝かせていう姿はなんとも幼い。
けれども土方はそれどころではなかった。
「な、んで…」
なんで知ってるんだ。
うまく動いてくれない舌では、情けない音しか出ないかったこと、見ていたことを知られていたことにカァッと顔に朱がはしる。
「真っ赤ー!可愛い」
くすりと笑った銀色は、幼い笑みを隠してニタリと艶やかな笑みを浮かべた。
「俺の名前さ、坂田銀時ってーの。おにーさんのこと、気に入っちゃってさー」
なんとも気だるげに喋るがそれがまた色気を出していて思わず唾を飲み込む。
坂田と名乗った男はするりと土方の腰を撫でた。
「俺と、イイコとしない?」
耳に唇が触れそうな距離で囁かれ、ぞくりと全身が粟立った。
「…ぅあ…っ」
自分のものとは思えない甘ったるい声が鼻から抜ける。けれどその声はホームに入ってきた電車によってかきけされた。
けれど坂田にはばっちり聞かれてしまったらしく、くつりと笑ったのが気配でわかる。
「感度いいんだね。」
もろ俺好み。
そう囁いて坂田は土方の手を引いた。
地下鉄の朝のホーム。
まるでマンガのような
甘ったるい関係がはじまった
-END-
お待たせしました!
相互記念小説の二作目でございます(^^)
今回は地下鉄のホームということで、ちょっとドラマチックにしてみました。え、なってない?
はは…
すみません(;´д`)
返品、書き直し要請受け付けますから言ってやってください。