アルモニー




久しぶりに連休が取れたので両手にスーパーの袋をさげて万事屋に向かう。
子どもたちは元気だろうか。
アイツは、いつもみたいにやる気のなさそうな目をしているのだろうか。
早く会いたい。

考えれば考えるほど動かす足はスピードを増していく。
ようやく見慣れた看板が見えた頃には息が上がっていた。

さすがに息が切れたままというのはどれだけ楽しみにしていたんだと恥ずかしくなるので大きく深呼吸をして落ち着くのを待つことにした。
もう一度繰り返してから上がろう、そう考えて空気を吸い込んだ時、カツンと万事屋の玄関先から足音がして反射的に顔を上げる。
するとそこには驚きに目を丸くした銀時が立っていた。

「え、なにどしたの。走ってきたの?」
「いや、ちが、これは…っ」

なんとか言い訳しようと考えるも口ごもってしまう。
結局言い返すことができなくて「悪いかよ…」と半ば拗ねながら小さく文句を垂れれば、銀時は全然、と嬉しそうに笑った。



「おかえりヨとしちゃん!」
「おかえりなさい土方さん!」
「ただいま」

玄関先で銀時にスーパーの袋を渡し靴を脱いでいると音を聞きつけた神楽と新八が駆け足でやってくる。神楽に至ってはどん、と体当たりかのように抱きついてくるものだから一瞬息が詰まりそうになった。

「久しぶりネ!元気にしてたアルか?」
「おう。この通りだ。神楽は…元気そうだな」

クシャりと桃色の頭を撫でてやりながらくすりと笑う。
すると神楽もまた嬉しそうに笑って抱きつく腕に力を込めた。
そんなふたりの中を見ていた銀時はちょっと!と声をあげてグィっと土方と神楽を引き剥がした。

「土方は俺のなんですけど!?」
「うるさいネ。トシちゃんはみんなのトシちゃんヨ!」
「いーや俺のだから!」
「ちょっと銀さん!大人気ないですよ!」

ぎゃあぎゃあと騒ぎ出したふたりに新八が間に入って宥めようとするが全く収まる気配はなく。

「はぁ…おい新八、そいつら置いといて飯の準備するぞ」
「あ、はい!」

やらせておけと言い台所へと向かう背中を慌てて新八は追いかける。

あぁ、幸せだ。

三人の声を聞きながらゆるりと口角を上げるのだった。



-END-



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