目を閉じれば男たちの下品な笑い声が頭の中をくるくると回る。
嫌だと反抗しても抑えつけられて、ただ欲を吐き出す為に体中をまさぐられて。
助けてと上げたはずの声も無理やりこじ開けられた痛みに上げた呻き声にかき消された。

余りの衝撃に意識を飛ばしてしまったようで、気がついた時には病院のベッドに寝かされていて、すぐ隣には警察らしき人と銀時がなにやら話込んでいた。

ほっと息を吐き出したのも束の間、ゾクリと背筋が震えた。
ここにいないはずの男たちの声が鮮明に浮かび上がる。
そこでようやく先ほど自分が受けた仕打ちを思い出して、一気に胃の中のものが逆流した。
「うぇ…ぐ、おぇ…」
「十四郎!?」
俺の変化に気づいた銀時がいちはやく駆け寄ってきて、肩をさする。
けれど気づいた時にはその腕を振り払っていた。

汚い、汚い。
触るな、近寄るな。

次から次へと嫌悪感が湧き上がって、しまいには体がガタガタと震え出す。
でも自分ではどうすることもできなくて、ただ自分体を抱きしめるしかなかった。
銀時が心配して触れようとするだけで、吐き気に襲われる。
他人が同じ空間にいるだけで体が震えて喉がひきつって、怖くて怖くて仕方がなかった。
体を丸めてシーツの中へ身を埋める。
恐怖から逃れるためにギュッと目を閉じれば、次第に深い眠りの波にのみこまれていった。

次に目が覚めた時には部屋には誰もいなかった。
日も沈んで月光だけが射す部屋の中をぼんやりと眺める。
一体自分はどうしてしまったのだろうか。
先ほどの異常な拒絶反応を思い出して、不安が胸をしめた。


後々銀時から聞けば、受けたショックから重度の対人恐怖症になったのではないかと医者がいっていたらしい。








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