ぽかぽか。
そんな効果音がよく似合う、今日の空。
散歩がてら近くのコンビニにでも行こうかしら。
思い立ったら即行動。お気に入りのスカートに、この前買ったパンプスを履いて家を出た。
「あれ、ミョウジ?」
声がして、振り向くとそこにはわたしの想い人。
「藤堂くん」
「偶然じゃん」
「今から部活?」
「いや、終わったとこ」
「あ、そうか、学校の方から歩いてきたもんね」
「おー。ミョウジはどっか行くの?」
「そこのコンビニ」
「俺も一緒に行っていい?」
「あ、うん、いいよ」
さりげなくわたしの歩幅に合わせてくれるあたり、藤堂くんはやっぱり優しいと思う。
スカート、穿いてきてよかったな。部屋着で来なくてよかった。
「…………」
「…………」
沈黙の間に流れる空気は、無性に心地良い。
ぽかぽかと日差しも気持ち良くて、なんか、幸せ。
「…ミョウジ」
「うん?」
沈黙に終止符を打ったのは藤堂くん。
「ミョウジは彼氏いんの?」
「いないよ」
「欲しいとか、思う?」
「思う、かな」
「………あのさ」
「うん」
「えっと、」
藤堂くんが足を止めて、つられてわたしも足を止める。
目の前には、緊張した顔で、口をぱくぱくさしている藤堂くん。
「お、」
「?」
「俺、ミョウジのこと、好き、なんだけど………」
意味を理解した瞬間、顔に熱が集まった。
藤堂くんが彼氏、なんて考えたこともなくて、毎日目で追うだけで精一杯で。
その藤堂くんが、か、彼氏…。
「あ、あの」
心臓はうるさくわたしの胸を打っていて、藤堂くんにまで聞こえそうなくらいだ。
これだけどきどきしてるっていうのは、そういうこと、だよね。
「わたしも藤堂くんが、好、き………です」
「………………まじ?」
「う、うん」
「……よかったー」
そして、あたしの手に重なった、藤堂くん手。
「!」
「あ、嫌だった?」
「ぜっ全然!」
「そう?ミョウジの手、気持ちいいな」
幸せそうに笑う藤堂くんは、今日の天気みたいに暖かい。
心臓が出した答え