03.

無事に練習が終わって(あの後は気を取り直して、見事平助に勝利した)、真っ先に彼女の元に向かう。

「初めまして!名前何ていうの?」
「雪村千鶴です。よろしくお願いします。」

ぺこ、と頭を下げてから、軽く笑う。
か わ い い !

「あの…、先輩は?」
「私はね、花原千陽!……あ、もしかしたら汗臭いかも。ごめんね」

練習後で汗まみれだということを思い出した。
臭かったらどうしよう。申し訳ないなあ。

「全然大丈夫ですよ。練習、お疲れ様でした」

なんていい子なのかしら。
こんな子が平助の幼馴染みなんて、あり得ないにも程がある。

「おい!千鶴に馬鹿が移るから離れろよ千陽!」
「平助くん!お疲れ様」

「おう!千鶴こいつに変なことされてないか?馬鹿移ってないか?」
「平助の馬鹿でも移ってないなら、私の馬鹿は大丈夫でしょ」

「どういう意味だよ!お前より俺のが馬鹿って言いたいのか!」
「そうです大正解!よく分かりまちたね〜。平助くんお馬鹿しゃんなのにね〜。いい子いい子〜」

「うざっ!お前うざいな!」
「はぁ?うざい?冗談は存在だけにしてよ」

「…よし、竹刀構えろ!喧嘩なら買うぞ!」
「あー、あっつ。平助いるせいで気温上がるわ暑苦しい」

あしらうと悔しいそうに地団駄を踏む平助。楽しい楽しい。

「……ふふっ」

笑い声が聞こえたので、千鶴ちゃんを見れば、目尻に涙を溜めて笑いを堪えていた。

「ほら平助のせいで千鶴ちゃんに笑われた!」
「俺かよ!?」

「あはは、ご、ごめんなさい…ふふっ」

自らの目尻の涙を拭った後、呼吸を整える千鶴ちゃん。

「楽しい方ですね、千陽先輩」

そんなこと言われたらおじさん嬉しくて舞い上がっちゃうよ。



お近付きになろう!
(な、なれた…のか?)




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