02.

練習が始まって、武道場が熱に包まれ始める。

平助の幼馴染みは、入部希望者たちの端っこに、ちょこんと座っていた。

私の頭の中にある、"女の子らしさ"を詰め込んだら、きっとあんな子が完成するに違いない。

それくらい可愛い子である。
ぶっちゃけ私のタイプである。

いや、私にソッチ系の気はないんだけど。

うーん、それにしてもきゃわいい。

「隙だらけだぜ、千陽!」
「あだっ!?」

そんなことを考えていると、面を取られた。

「ちょっと平助!今のは卑怯だよ!」
「お前がぼーっとしてるからだろ!」

今!互格稽古中!ときぃきぃ叫ぶ平助。うるさいなこの子猿め!

「よっしゃ平助、もう1回やろう!次は負けないからね!」
「おっしゃ臨むところだ!もっかい負けて泣くんじゃねぇぞ!」

そんな私たちの様子を見てか、くすりと微笑んだその子。

「か……っ」
「…面!」

可愛い!思わずそう叫びそうになった瞬間、またも平助の竹刀が面にクリーンヒットした。

「ああ!待って!今の無し!!」
「何やってんだよお前!今日あほみてぇに隙だらけだぞ!?」



あの子に釘付け!
(だって可愛いんだもん!)






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