05. 「それでは!我が部の活躍を祈って、乾杯!」 『乾杯〜!』 近藤さんの乾杯の音頭に続いて、部員が一斉に声を上げた。 毎年この時期に開かれる新入生歓迎会。 剣道部に入部した新入生を歓迎する(という名目でどんちゃん騒ぎがしたいだけの)会である。 「ぷはーっ!カルピスうめー!」 「親父くせぇな千陽!しかしこういう時のカルピスは確かにうめーよな!」 「さすが平助くん!お前は味が分かる男だよ!」 「いやいやいや千陽さんには及ばないっスよ〜!」 近藤さんや土方さん、左之さんや新八っつぁんや山南さんなどは、ビールや焼酎。 私たちは高校生なのでカルピスとかオレンジシュースとか烏龍茶だ。 「おい、左之!腹踊りやれよ!」 「あ?またかよ。新八はいっつも俺の腹踊り見たがるよなぁ」 みんなの空気も高揚してきて、笑い声が絶えなくなった頃、新八っつぁんが左之さんに腹踊りを要求し始めた。 左之さんはお腹にバッサリと古傷が刻まれていて、こういう場では左之さんの腹踊りは名物になっていた。 「来たよ、左之さんの腹踊り!やっぱこれ見なきゃねぇ!」 「僕も見たいなあ、左之さんの腹踊り」 「平助に沖田まで…。…ま、こりゃやるっきゃねえな!」 「おらお前ら!左之が腹踊りやんぞ!心して見ろ!」 その瞬間、わっと声が上がる。 いいぞー!とか、待ってましたー!とか、口々に皆が叫ぶ。 ペンで左之さんの腹に顔を描いて、左之さんが腹をくねらせて踊る。 「あっははははは!ひゃははは!死ぬ!お腹痛い…!げほっ、あっはっはっは!」 「さっ左之さん!やばい…!うははは!」 大爆笑も大爆笑、みんな腹を抱えて息も絶え絶えになりながら笑っている。 息は苦しいし、腹筋は痛いし、涙は止まらないし、本当に死んでしまいそうだけど、最高に面白かった。 腹踊りが終わっても興奮が冷めない私たちは、がやがやと各々で談笑している。 「へーい!千鶴ちゃん飲んでる?」 「あ、はい!飲んでます!」 「カルピス飲みなよカルピス!はい、カルピス!あははは!」 「…あ、ありがとうございます。」 「千陽、カルピスしか飲んでないのに酔っ払いみたいだね」 「あはは!何!酔っ払ってないよーん!」 「みたい、というか、これは…」 「あ!はじめくーん!うははははは、はじめっくーん!」 「あれっ!おい!千陽が握ってんの俺のだぞ!?」 「はぁ!?新八っつぁんの!?じゃあビールじゃん!」 「平助ぇ!新八っつぁーん!一緒に踊ろー!」 「いや、踊らねぇよ!うわ!抱きつくな!ちょ!はじめくん、こいつ剥がして!」 「…外へ行くぞ千陽。お前は少し頭を冷やせ」 「冷えてるよ!キンッキンだよ!あははははキンッキン!はじめくん良い匂いする!あははは!」 はじめくんに引き摺られていく千陽を見て、みんなは息を撫で下ろした。 「酔っ払いだな…」 「うん、酔っ払いだね」 「あいつ酔っ払うと厄介だな」 「土方さん程じゃないけどな」 「あ?何か言ったかよ」 05.新入生を歓迎する会! (うっ…、はじめくん、ぎぼぢわるい…!) (!?ま、待て、袋を………、遅かったか……) |