作品 | ナノ




「聞いてよー昴ちゃん!半田がさあ」

まるで絵に描いたような恋する乙女の顔つきでティースプーンを弄ぶ美桜ちゃんは、可愛くて眩しくて、私の光だ。我儘で気まぐれな性格に定評のある私を心から慕ってくれていて、ありのままの私を見てくれる、大切な友達。

いつもより弾んだ声で美桜ちゃんが語る。聞くところによると、彼女の想い人である半田に女の子扱いをされ更に着物を誉めて貰ったらしかった。

「それで私頑張って、着物見て欲しかったって言ったの」

「本当?それ凄く効いたと思うわよ。それで半田は何て?」

「に、似合ってる、って……」

わかりやすく頬を染めたのを見て思わずニヤリとする。半田にしてはやるじゃないの、良かったわねと言ってやったら更に顔がまっかになったので思わずその頭に手を置いていた。参ったわ、衝動って怖いわね。

「ああ〜もう美桜ちゃん可愛いわ。大丈夫、きっと半田、今頃頭ん中美桜ちゃんの着物姿でいっぱいだから」

本当に。そう言いながら髪型を崩さないようにそっと撫でて微笑んでみせると、そうかなと照れくさそうに笑う美桜ちゃん。

この子の、この笑顔に、私はいつも目が眩む。私には到底真似出来そうにないピュアな笑顔が私を引き込む。男女問わず仲が良くて誰からも好かれる美桜ちゃんは、人を和ませる魔法のような笑顔が魅力だ。

半田だって、この魔法に掛かっていない訳がないのだ。女の子扱いされた、そんな些細なことで喜ぶ美桜ちゃんを見られるのは嬉しいけれど、裏を返せば普段は女の子扱いされてないということ。それに半田、美桜ちゃんを泣かせてばっかり。自分の好きな子に、それは頂けないわ。

「半田、いつもそんなに素直だったらいいのにね」

「えっ!?な、なにを言って……」

「据え膳食わぬは男の恥って言葉知らないのかしら」

「据え膳!?」

「美桜ちゃんが着物着てるのよ?かなりの見応えよ。あなたももっと自信持って、」

「で、でも私、普通だし……」

私に無いものを持っていて、それを誇って良い筈なのに気取らず「私は普通だよ」なんて繰り返すけれど、普通なんて言葉で言い表せない程あなたは素敵なの。気付いていないの、美桜ちゃんだけよ。じゃなきゃ、あなたの周りにあんな沢山の人たちは集まらないと私は思うけどな。

それを伝えても彼女はきっとまた困ったように笑うだけだろう。そこがまた良い所。私はそんな美桜ちゃんが大好きだから、彼女を泣かせる頼りない半田なんかにやりたくないけど、彼女が幸せでいられるならそれで良いと思える。
だから私は今日もこうして美桜ちゃんの話に耳を傾けたがるのだ。焦れったくて可愛い恋を勝手に応援できるなら、本望。

「美桜ちゃんも、もっと素直にならないと、ね!」

この子を不幸にするなんて私が許してあげないから。

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弁解
昴は性格が良くないので勿論一部の人(特に女子)から疎まれてて、本人もそれを認識してるから皆と仲良くできる美桜ちゃんを羨ましいとは思わないけど、自分にはできないって尊敬してる。そんな昴とみおみおを書きたかったのに昴でしゃばりすぎしんだ(´・ω・`)

園宅の美桜ちゃんをお借りしました。有難う!






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